2012-01-01から1年間の記事一覧

性と生〜「ふがいない僕は空を見た」のこと〜

窪 美澄 著 「ふがいない僕は空を見た」 を読んだ。 R-18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。 田畑智子が体を張った映画が話題になっている。 コスプレ好きな主婦と高校生の関係を中心にした群像劇。 非常に評価が難しい作品だと思う。 高校生の主人公、コス…

人大杉〜メトロポリタン美術館展のこと〜

「メトロポリタン美術館展 大地、海、空 4000年の美への旅」 に行って来た。 東京都美術館の企画展。 世界三大美術館のひとつとされる同美術館から、 メソポタミア文明の工芸品から現代美術までのコレクションが集められた。 多すぎる。何がって人が。 絵を…

世界は広い〜ポコラートのこと〜

「ポコラート全国公募展 vol.3」 を観た。アーツ千代田3331で開催される公募展。 ポコラートとは「障害のある人・ない人、アーティストが核心の部分で相互に影響し合う場」という理念らしい。 こういったものを見る場合、いろんなバイアスがかかってくる。 …

問題がヒマラヤ級〜日本のこと〜

池上彰 著 「先送りできない日本”第二の焼け跡からの再出発”」 を読んだ。 池上彰がこれだけ活躍しているのに、テレビでもほとんど見たことなかったし、著書も未読だった。 100円だったので読んでみたが、なるほどわかりやすい。 震災直後に出た本だが、…

目を研ぐ〜写美のこと〜

写真美術館に行って来た。 「北井一夫 いつか見た風景」学生闘争や成田闘争などを内側から写した初期作品からの回顧展。 継続する緊張感を感じる作品は見応えがあった。 一方で日常的な風景作品もあり、時間と共に変わる作家の視点がはっきり見えていて面白…

立っているのがやっと〜ファミレス部のこと〜

池袋で飲んでいる時に呼び出され、Aさん、Y嬢とファミレスに集合。 「ジャムババアがパン焼いたんだから来い」と言われたらもう私に拒否権は無い。 例によって子供を寝かせつけてからなので、深夜に集まる。 今回はY嬢が言い出したようだ。 子育てで翻弄され…

過去も未来も〜三人忘年会のこと〜

Tさん、U君といつものように池袋で三人飲み。 忘年会というわけではないが、飲みたくなったので声をかけて集まった。 今年を振り返ろうとするも、まったく思い出せない。 忘年会するまでもない、もう私の頭には上半期の記憶がまったくと言っていいほど無かっ…

センスに脱帽〜「永遠の出口」のこと〜

森絵都 著 「永遠の出口」 を読んだ。 主人公の紀子はいたって普通の少女だ。 彼女の小三から高三までの人生をエッセーのような形で紡いでいく。 過去と四つになって組むような重さもない、未来へのステップのような気負いもない。 ちょっと振り向いてみたよ…

情報ソースはどこに〜生産的会話のこと〜

Y子さんと池袋で飲んだ。 あん肝が猛烈に食べたくなる病をこじらせてしまったが、Y子さんお勧めのお店で巡り合うことができた。 しっぽり飲みたいと思っているのだが、ほぼ討論会状態になるY子さん飲み。 今回もいろんなテーマについて話すことができた。 文…

その背景に何が〜ルネサンスのこと〜

池上 英洋 著「ルネサンス 歴史と芸術の物語」を読んだ。 美術に興味が無い人でも”ルネサンス”という言葉は知っているだろう。 15世紀くらいからイタリアから広まった芸術文化革命で、古代復興を目指したものだ。 ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエ…

百年目〜黒門亭のこと〜

叔父(兄)が家を建てることになり、その報告会で上野で会食ランチ。 小1の従妹と3歳の姪に早めのクリスマスプレゼントをあげた。 独身35歳のおっさんが女の子のプレゼントを選ぶ難しさを毎回痛感する。。 とりあえず、和気あいあいとした食事となった。…

いつか来る日〜Tの親父さんのこと〜

Tの親父さんのお通夜に行った。 3年くらい前から入退院を繰り返しながら闘病していて、心からお疲れ様と言いたい。 Tの親父さんは私の父と同い年で同じ新潟県出身なので縁を感じたものだ。 気軽にしゃべるタイプではないが、家に遊びに行けば「おう、来たか…

責任が必要〜死というテーマのこと〜

重松清 著 「その日の前に」 を読んだ。流星ワゴンなどでお馴染みの著者の泣ける本として名高い作品。 死をテーマにした物語の短編集。 表題作は余命を宣告された妻との日々を描いたもので、その妻が死ぬ「その日」、 死んだあとの「その日のあとに」と連作…

味方を増やせ〜若手会合のこと〜

仕事関係の若手の集いに行って来た。 もう何回目かわからなくなってきた頃、ずいぶんと打ち解けてきた。 今回はランチ。場所はあざみ野。 正直、何処?っていう。 メンバーのお得意先で、野菜バーと自家製パンをメインにした店でランチはいつも大盛況らしい…

上向きの生命力〜棚田康司のこと〜

「棚田康司 たちのぼる。」展に行って来た。 練馬美術館の企画展。 現代彫刻の分野で活躍している棚田康司の東京での初の個展。 新聞で記事を見て、行ってみることにした。 一本の木から細い少年少女の姿を掘り出す。 本当に頼りないほどに細く、目は潤んで…

ウィット〜「詩人のナプキン」のこと〜

堀口大学 訳 「詩人のナプキン」 を読んだ。訳詩で有名な堀口大学の翻訳フランス短編集。 アポリネールやメーテルリンクなどの様々な作品が収録されているが、 詩的だと思ったら、恐ろしくグロテスクだったり、幻想的と思えば現実的だったり。 中でもアポリ…

維新の洋画家〜川村清雄のこと〜

「維新の洋画家 川村清雄」展に行って来た。江戸東京博物館の企画展。 川村清雄は維新後の動乱の時代、勝海舟の庇護のもとに活躍した日本人洋画家。 初となる大規模な回顧展で私も初めて知る画家だ。 旗本の生まれで、徳川派遣留学生としてアメリカへ、現地…

人ってこんなん〜「夢見通りの人々」のこと〜

宮本 輝 著 「夢見通りの人々」 を読んだ。 タイトルから想像すると、商店街の人々のほっこりするような心の交流を描いているのかと思うが、全く違う。 人間を人間たらしめる弱さやエゴといった醜い部分を、過大にも過小にもせず、ごく自然に描いている。 オ…

仮面の画家〜アンソールのこと〜

「ジェームズ・アンソール―写実と幻想の系譜」展 に行って来た。 損保ジャパン東郷青児美術館の企画展。最終日に滑り込んだ。 先日行ったポール・デルヴォーより40歳先輩のベルギーの画家で、 ベルギーのシュルレアリズムに影響を与えている。 アントワープ…

ベジータ登場〜Hさん飲みのこと〜

HさんとY君と三人でうちで鍋を食べた。 1年に1回だけ会うHさん。 今はまさかの学生の身分でお金が無いというわけで、我が家に来ることに。 うちで2人で食べるのも不健康なので、 いるだけで何となく場がまとまるY君にも来るように懇願したわけである…

拒絶反応〜「溺レル」のこと〜

川上弘美 著 「溺レル」 を読んだ。 女性に人気のある作家で、「センセイの鞄」などは映像化もされて、私も昔見ていい作品だと思った。 で、何の予備知識もなく読んではみたのだが。 合わない。。。 良いとか悪いとかではなく、とにかく合わない。 文章も間…

ダラダラ〜BBQのこと〜

Tさん夫婦、Y君、Oさん、NとでBBQをしに埼玉県の長瀞まででかけた。 料理長に勝手に任命していたY子さんの不参加により、完全にやる気をなくしていた私。 こうなると私が調理をする係になるわけだが、基本的にもう焼くだけである。 野菜を焼き、肉を…

なぜに〜東京見物のこと〜

休日だが午前中に少し仕事をして実家に寄ると母が、 「東京見物したい」とのこと。 また訳のわからないこと言い出したと思ったが、特に予定もないので車ででかけることにした。 とりあえず、上野から銀座へ抜けて新しくなった東京駅へ、皇居を半周して赤坂か…

キリキリしたかった〜「臨場」のこと〜

横山秀夫 著 「臨場」 を読んだ。 修身検視官の異名をもつ倉石の活躍を中心とした短編集。 ドラマ、映画化もされている。 警察組織の実状を描くことに定評がある著者だが、 この作品では倉石というヒーローの存在ありきの内容になっている。 この主人公のお…

夢に、デルヴォー〜ポール・デルヴォ―のこと〜

「ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅」 に行って来た。 府中市美術館の企画展。 マグリットと並んでベルギーを代表するシュールレアリズム絵画の代表的な画家。 私のようにマグリットを好きになった人は、このデルヴォーも必ず通るはずだ。 今回は日本初公開…

会社っていいな〜三人飲みのこと〜

Tさん、Y君といつものように池袋で飲んだ。 今年はとにかく山へ行こうとすると天気が崩れる。 せっかくなので飲もうということに。 今回はTさんの職場の人がゲストでやってきた。 ゲストさんがなぜか緊張しているというので、 こりゃトークのギアを入れな…

カリスマ続出〜シモンと70年代のこと〜

四谷シモン 著 「人形作家」 を読んだ。 私が人形の世界に興味をもつきっかけとなった四谷シモンの自叙伝。 人形作家としてお馴染みの四谷シモンではあるが、そこに至る過程は波乱万丈だ。 自由奔放な母親の元で育ち、ロカビリーを歌ってみたり、唐十郎の状…

気分上々〜ツーリングのこと〜

Y君とツーリングにでかけた。 天気は最高のバイク日和。 そろそろバイクと合体するであろうY君に誘われて山梨方面へでかけた。 Y君のバイクが見ないうちに大きくなったと思ったら、大型1300に。もはやバイクというより軽自動車である。 富士吉田で降り、さ…

伝える力〜山本美香さんのこと〜

山本美香 著 「世の中への扉 戦争を取材する―子どもたちは何を体験したのか」 を読んだ。 今も内戦が収まらないシリア。 その取材中に銃撃戦にまきこまれ死亡したジャーナリスト山本美香さんが、 10代に向けて書いた作品。 戦争とはどういうものなのか、ど…

最高だってよ〜「桐島、部活やめるってよ」のこと〜

映画 「桐島、部活やめるってよ」 を観た。 学校という閉鎖的な社会におけるヒエラルキー。 その頂点にいた桐島が部活を辞めるということに、振り回されてる生徒たちを描いた、青春群像劇。 結論からいうと、この映画は傑作だ。ここ最近では群を抜いて面白い…