ライトではない〜十二国記のこと〜

小野不由美 著 「月の影 影の海 下」 を読んだ。


受難の日々を続け、ついに倒れる陽子の前にネズミに近い半人半獣の楽俊(らくしゅん)が現れる。
人間不信の陽子の心を少しずつ氷解し、一緒に旅する中で陽子は人間的に成長していく。
さらに陽子自身にとって運命を大きく帰る事実が判明し、大きな決断を迫られることになる。


この過酷さ、運命に翻弄されっぷり、ライトノベルというには重すぎる。
細部にまでこだわった世界感にぐいぐい引き込まれる。


ファンタジーではあるが、そこで描かれていることは人間。
個人、そして社会的な意味での人間だ。
十代の感受性の強い子が読めば、大きく影響されると思う。
古典文学ばかりが人を動かすわけではない。


このシリーズが長く愛されている理由がわかった気がした。
私もこの少しずつだがこの世界に触れ続けてみようと思う。

月の影  影の海 (下) 十二国記 1 (新潮文庫)

月の影 影の海 (下) 十二国記 1 (新潮文庫)