2013-01-01から1年間の記事一覧

爆睡というか昏睡〜オペラのこと〜

オペラ 「ナブッコ」 を観た。Y子さんがチケットをもらったというので、一緒に新国立劇場へ。 なかなか観ることのないオペラ。 フィガロの結婚や椿姫などのメジャー作品の原作は読んではいるがオペラ観たことがない。 観たいと思ったことはあるが、まず値段…

ライトではない〜十二国記のこと〜

小野不由美 著 「月の影 影の海 下」 を読んだ。 受難の日々を続け、ついに倒れる陽子の前にネズミに近い半人半獣の楽俊(らくしゅん)が現れる。 人間不信の陽子の心を少しずつ氷解し、一緒に旅する中で陽子は人間的に成長していく。 さらに陽子自身にとっ…

濃厚な生〜牧野邦夫のこと〜

「牧野邦夫−写実の精髄」展 に行って来た。 戦後の画壇において、時代や思想の流れに全く影響されず、自分の世界を描き続けた男、牧野邦夫。 写実的なのに、その世界は幻想。 レンブラントに傾倒し、自画像を多く描いているのだが、自分の姿をただ描いている…

とにかく聞くべし〜LIFEのこと〜

鈴木謙介、長谷川裕、 Life Crew 著 「文化系トークラジオ Life のやり方」 を読んだ。 TBSラジオで隔月で一回のみ日曜の深夜の放送休止枠で放送する番組「LIFE」 社会学者の鈴木謙介をメインパーソナリティに毎回テーマを決めて、様々な人が集まり、…

怖いモノ見たさ〜魔性の女のこと〜

「”魔性の女”挿絵」展に行って来た。弥生美術館の企画展。 明治末期から昭和初期にかけて刊行された日本文学における、 魔性の女の挿絵を集めたもの。 私の大好きな谷崎や乱歩の世界には魔性の女がつきものである。 ビアズリーの影響が多分に垣間見えるもの…

情動〜フランシス・ベーコンのこと〜

「フランシス・ベーコン展」 に行って来た。 ピカソと並んで評される20世紀を代表する画家。 少し前に30億以上の価格で落札されて話題になった。 ちなみに90億ついた作品もある。。 初めてベーコンの作品を認識したのは、二十歳そこそこの頃だと思う。…

戦える強さはあるか〜差別のこと〜

野中 広務、辛 淑玉 著 「差別と日本人」 を読んだ。 部落出身者であり、戦争体験者でもあった政治家、野中広務。 在日としてのアイデンティティを保ちながら、民族、フェミニズムの視点から人権を訴え続ける辛淑玉。 そんな2人が日本が抱える人権問題につ…

受難〜「十二国記」のこと〜

小野不由美 著 「十二国記 月の影 影の海 上」 を読んだ。 ”学生時代、クラスで目立たない女子が休み時間に読んでいる本”として、 私の中でお馴染みの作品。 ラノベの草分け的作品としても知られているが、未読であった。 新潮社から新装版として出版された…

干物最高〜お墓詣りのこと〜

母とお墓詣りに行って来た。 千葉の鴨川にある祖父母のお墓へ。 天気も良く、ドライブ気分で車を走らせる。 サービスエリアでロッテリアに寄ることを忘れてはいけない。 母はロッテリアのエビバーガーをこよなく愛しているのだ。 お墓詣りをすると気分がスッ…

小ネタ集〜「のはなし」のこと〜

伊集院光 著 「のはなし にぶんのいち 犬の巻」 を読んだ。 伊集院光のメールマガジンに掲載されていたエッセーをまとめたもの。 文庫化にあたり、写真コレクションが掲載された。 はじめて伊集院光の声を聴いたのが中学三年生。 以来、ブランクはあったが今…

よかくに人の世は住みにくい〜「何者」のこと〜

朝井リョウ 著 「何者」 を読んだ。 「霧島、部活やめるってよ」でお馴染みの著者の直木賞受賞作。 就活中の学生たちの日常から現代人、特に若い世代が抱える影を描く。 フェイスブックやツイッターをコミュニケーションツールとして日常的に使う世代。 彼ら…

人間キャパ〜タローとキャパのこと〜

「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 2人の写真家」を見に行った。 祝日。午前中に仕事を終え、天気も良かったので横浜美術館までバイクで向かった。 写真に興味なくても名前くらいは聞いたことがあるだろうロバート・キャパ。 ロバート・キャパというのは…

疑い、そして動く〜「独立国家のつくりかた」のこと〜

坂口恭平 著 「独立国家のつくりかた」 を読んだ。 3・11を経て、政治への不信感や将来への不安を感じている人は多いはず。 じゃあ自分で作ってしまおうという単純かつ大胆な発想から、 建築家、作家、芸術家と様々な分野で活躍する著者が生きる上での常…

写真いろいろ〜写美のこと〜

写真美術館に行った。「夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史 北海道・東北編」 タイトルどおり日本における写真の普及を辿るシリーズ。 新撰組土方歳三の肖像写真などが展示されている。 また、明治の三陸地震など天災の記録写真も公開されている。 幕末に…

動けない〜三人飲みのこと

Tさん、U君と三人でうちで鍋。 この冬はほとんど鍋ができず、以前から用意していたスンドゥプ鍋の素をようやく食べられた。 例によって野菜地獄。鱈もたっぷり入れ、〆はうどん。 やはりミツカン最強説は間違っていなかった。 この時点で相当お腹いっぱい…

キャラ多すぎ〜妖怪アパートのこと〜

香月 日輪 著 「妖怪アパートの幽雅な日常」を読んだ。ほっこり妖怪系の人気シリーズ。 妖怪と人間が普通にくらしているアパートに高校生の主人公が下宿することに。 アクの強いキャラクターたちと暮らしているうちに、主人公の心がほぐされていく。 子ども…

マグのたてもの探訪〜江戸東京たてもの園のこと〜

「江戸東京たてもの園」に行って来た。 長年行きたくても一人では行けず、興味を持ってくれる人もいなかった江戸東京たてもの園に行くことができた。 Y子さんに感謝だ ここは近現代の歴史的建造物29棟を移築、再建したところで、小金井公園の中にある。 江…

謎に迫る〜画家マグリットのこと〜

森 耕治 著 「マグリット:光と闇に隠された素顔」 を読んだ。 私が美術に興味を持つきっかけとなった画家マグリット。 それだけに思い入れも強く、遠くベルギーまで足を運んだほどだ。 紙幣の肖像になっているくらい、ベルギーでも愛されている。 マグリッ…

人生は長く楽しい〜70代の女子会のこと〜

姪と父の誕生日が近いということで、家族そろって居酒屋で飲んだ。 そのあと、一人でいつものバーに行ったのだが、そこに女性が2人並んでいる。 いいところに来たと紹介されたこの女性、噂に聞いていた70代の女子なのである。 噂には聞いていたが、なるほ…

ダンディズムの極〜白洲次郎のこと〜

北 康利 著 「白洲次郎 占領を背負った男 下 」 を読んだ。 下巻では敗戦と占領を経て、いよいよ日本が経済的自立を目指していく。 次郎はアメリカとの交渉に臨む。 吉田茂の懐刀として活躍し、電力事業再編、通商産業省設立などにも乗り出していく。 その志…

もはやマンガ〜白洲次郎のこと〜

北 康利 著 「白洲次郎 占領を背負った男 上」 を読んだ。 美術好きには白洲正子の方がお馴染みであるが、その夫である白洲次郎の伝記。 終戦後、GHQと渡り合った男である。 上巻ではその生い立ちと終戦を迎える頃までの次郎の人生がつづられる。 ちょっ…

気品ある美〜エドワード・スタイケンのこと〜

「エドワード・スタイケン展 モダン・エイジの光と影1923−1937」 に行って来た。 世田谷美術館の企画展。 20世紀商業写真の先駆者として活躍したアメリカの写真家、 エドワード・スタイケンの世界を巡回している個展。 雑誌ヴォーグやヴァニティ・フェアに…

政治と国民の距離〜ネットと選挙のこと〜

津田大介 著 「ウェブで政治を動かす!」 を読んだ。 オバマ米大統領が選挙の際にネット上の活動で多くの支持を得たわけだが、 日本においては、公職選挙法によってネット上の選挙活動は禁じられている。 ネットインフラは世界トップクラスなのに、である。 …

よくできました〜「クラコレ」のこと〜

「奇跡のクラーク・コレクション‐ルノワールとフランス絵画の傑作‐」を見た。 三菱一号館美術館で始まったばかりの企画展。 アメリカの辺鄙な所にあるクラーク美術館。その印象派を中心としたコレクションが来日。 今回は同じく美術好きのY子さんと行った。…

悲喜劇てんこもり〜「犯罪」のこと〜

フェルデナント・フォン・シーラッハ 著 酒寄進一 訳 「犯罪」 を読んだ。 ドイツからヨーロッパ、そして世界中で翻訳されベストセラーとなった短編ミステリー。 弁護士である私が遭遇した11の事件。 実際に起こった事件を元にしているのだが、いずれも人…

美術って何?〜会田誠のこと〜

「会田誠 展 天才でごめんなさい」 に行った。 日本の現代アートを代表するアーティストである会田誠。 刺激的すぎる作品はなかなか展示されることがなかったが、ついに個展が開かれることになった。 古典作品に現代の思想を乗せるというのが、会田誠の表現…

歌と映像のリンク〜「レ・ミゼラブル」のこと〜

映画「レ・ミゼラブル」を観た。 言わずと知れたヴィクトル・ユゴー原作の大河ドラマ。 ロンドンではミュージカルがずっと公演されているが、映画もミュージカルである。 ちなみに私はロンドンで観ている。 が、当然全編英語なので何が何やら。ただ歌にはす…

朝まで討論会〜Y子さん飲みのこと〜

Y子さんと飲んだ。 今回は私の地元に来てもらい、これぞ下町の居酒屋という馴染みの店に。 この店はいつも活気があり、メニューも豊富で安い。何より居心地が良いのだ。 例によって議題は多岐に渡る。 仕事、家族の話題から宗教やら芸術やら、 お酒も入って…

小さな一歩とすり合わせ〜社会活動のこと〜

湯浅 誠 著 「ヒーローを待っていても世界は変わらない」 を読んだ。年越し派遣村の村長を務めたり、政府の雇用対策などで参与として活躍したと、 主に貧困問題に対して活動している著者が、その実践的思想から民主主義を考える。 震災復興、年金や雇用の金…

人生のひだ〜イーユン・リーのこと〜

イーユン・リー著 「黄金の少年、エメラルドの少女」 を読んだ。アメリカで活躍している中国人女流作家。 短編の名手として知られていて、数々の文学賞を受賞している。 噂を聞いて読んでみた。 本作も短編集だが、いずれも現代中国が舞台になっている。 そ…