絵見た

濃厚な生〜牧野邦夫のこと〜

「牧野邦夫−写実の精髄」展 に行って来た。 戦後の画壇において、時代や思想の流れに全く影響されず、自分の世界を描き続けた男、牧野邦夫。 写実的なのに、その世界は幻想。 レンブラントに傾倒し、自画像を多く描いているのだが、自分の姿をただ描いている…

怖いモノ見たさ〜魔性の女のこと〜

「”魔性の女”挿絵」展に行って来た。弥生美術館の企画展。 明治末期から昭和初期にかけて刊行された日本文学における、 魔性の女の挿絵を集めたもの。 私の大好きな谷崎や乱歩の世界には魔性の女がつきものである。 ビアズリーの影響が多分に垣間見えるもの…

情動〜フランシス・ベーコンのこと〜

「フランシス・ベーコン展」 に行って来た。 ピカソと並んで評される20世紀を代表する画家。 少し前に30億以上の価格で落札されて話題になった。 ちなみに90億ついた作品もある。。 初めてベーコンの作品を認識したのは、二十歳そこそこの頃だと思う。…

人間キャパ〜タローとキャパのこと〜

「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 2人の写真家」を見に行った。 祝日。午前中に仕事を終え、天気も良かったので横浜美術館までバイクで向かった。 写真に興味なくても名前くらいは聞いたことがあるだろうロバート・キャパ。 ロバート・キャパというのは…

写真いろいろ〜写美のこと〜

写真美術館に行った。「夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史 北海道・東北編」 タイトルどおり日本における写真の普及を辿るシリーズ。 新撰組土方歳三の肖像写真などが展示されている。 また、明治の三陸地震など天災の記録写真も公開されている。 幕末に…

気品ある美〜エドワード・スタイケンのこと〜

「エドワード・スタイケン展 モダン・エイジの光と影1923−1937」 に行って来た。 世田谷美術館の企画展。 20世紀商業写真の先駆者として活躍したアメリカの写真家、 エドワード・スタイケンの世界を巡回している個展。 雑誌ヴォーグやヴァニティ・フェアに…

よくできました〜「クラコレ」のこと〜

「奇跡のクラーク・コレクション‐ルノワールとフランス絵画の傑作‐」を見た。 三菱一号館美術館で始まったばかりの企画展。 アメリカの辺鄙な所にあるクラーク美術館。その印象派を中心としたコレクションが来日。 今回は同じく美術好きのY子さんと行った。…

美術って何?〜会田誠のこと〜

「会田誠 展 天才でごめんなさい」 に行った。 日本の現代アートを代表するアーティストである会田誠。 刺激的すぎる作品はなかなか展示されることがなかったが、ついに個展が開かれることになった。 古典作品に現代の思想を乗せるというのが、会田誠の表現…

最高の時間〜「エル・グレコ展」のこと〜

「エル・グレコ展」 に行って来た。 ずっと楽しみにしていた東京都美術館の企画展。 エル・グレコの作品が世界各地から集まる大規模なものとなっていて、こんなチャンスはなかなか無い。 ルネサンスの時代、ギリシャで生まれたグレコはイタリアを経由して、…

人大杉〜メトロポリタン美術館展のこと〜

「メトロポリタン美術館展 大地、海、空 4000年の美への旅」 に行って来た。 東京都美術館の企画展。 世界三大美術館のひとつとされる同美術館から、 メソポタミア文明の工芸品から現代美術までのコレクションが集められた。 多すぎる。何がって人が。 絵を…

世界は広い〜ポコラートのこと〜

「ポコラート全国公募展 vol.3」 を観た。アーツ千代田3331で開催される公募展。 ポコラートとは「障害のある人・ない人、アーティストが核心の部分で相互に影響し合う場」という理念らしい。 こういったものを見る場合、いろんなバイアスがかかってくる。 …

目を研ぐ〜写美のこと〜

写真美術館に行って来た。 「北井一夫 いつか見た風景」学生闘争や成田闘争などを内側から写した初期作品からの回顧展。 継続する緊張感を感じる作品は見応えがあった。 一方で日常的な風景作品もあり、時間と共に変わる作家の視点がはっきり見えていて面白…

上向きの生命力〜棚田康司のこと〜

「棚田康司 たちのぼる。」展に行って来た。 練馬美術館の企画展。 現代彫刻の分野で活躍している棚田康司の東京での初の個展。 新聞で記事を見て、行ってみることにした。 一本の木から細い少年少女の姿を掘り出す。 本当に頼りないほどに細く、目は潤んで…

維新の洋画家〜川村清雄のこと〜

「維新の洋画家 川村清雄」展に行って来た。江戸東京博物館の企画展。 川村清雄は維新後の動乱の時代、勝海舟の庇護のもとに活躍した日本人洋画家。 初となる大規模な回顧展で私も初めて知る画家だ。 旗本の生まれで、徳川派遣留学生としてアメリカへ、現地…

仮面の画家〜アンソールのこと〜

「ジェームズ・アンソール―写実と幻想の系譜」展 に行って来た。 損保ジャパン東郷青児美術館の企画展。最終日に滑り込んだ。 先日行ったポール・デルヴォーより40歳先輩のベルギーの画家で、 ベルギーのシュルレアリズムに影響を与えている。 アントワープ…

夢に、デルヴォー〜ポール・デルヴォ―のこと〜

「ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅」 に行って来た。 府中市美術館の企画展。 マグリットと並んでベルギーを代表するシュールレアリズム絵画の代表的な画家。 私のようにマグリットを好きになった人は、このデルヴォーも必ず通るはずだ。 今回は日本初公開…

カメラを持とう〜写真と世界のこと〜

「操上和美 時のポートレイト ノスタルジックな存在になりかけた時間」 を見た。 写美の企画展。広告写真家の繰上和美が日常の中で撮りためたスナップショットから選んだものが展示されている。 1970年から現在に至るまでの感覚の歴史を見ているような感じ。…

名品といわれる意味〜茶道具のこと〜

「利休と織部―茶人たちの好みと見立て」 を見た。 畠山記念館の企画展。 アニメや小説で茶道具に興味を持ち始めたわけだが、なかなか難しい。 美術品というのは本物を見ていくしかないと思っているので、今回足を運んだわけである。 初めて行った畠山記念館…

それはそれは恐ろしいもの〜物の怪のこと〜

「お伽草子 この国は物語にあふれている」 を見た。 サントリー美術館の企画展。 室町から江戸まで、日本ではさまざまな物語が生まれ、伝承されてきた。 その時々の文化を反映した物語が絵巻物などに描かれ、後世に伝えらてきたことは、実に興味深いことだ。…

熱狂の時代〜70年代のこと〜

「日本の70年代 1968-1982」 を見た。 埼玉県立近代美術館の企画展。 70年代。大阪万博、学生運動、アングラ演劇、ぴあやananの創刊、フォークとロック、若いエネルギーが噴出していた熱い時代だ。 芸術も非常にエネルギーにみちていた。 横尾忠則、金子…

写真って〜田村彰英のこと〜

「田村彰英 夢の光」 を見に行った。写真美術館での企画展。 70年代から活躍している、日本の現代写真を牽引してきた写真家、田村彰英の作品展。 日本にある米軍基地を撮影した作品群は、それが日本ではないようにあえて撮影されている。 日本の中の異国を…

音が聞こえる写真〜鋤田正義のこと〜

「SOUND&VISION 鋤田正義展」 に行って来た。 写真美術館で開催中の企画展。 国内外のアーティストに高い支持を得ている写真家の鋤田正義の作品展。 70年代というポップカルチャー、サブカルチャーの息吹を感じることができる。 写真だけでなく、CMやミュー…

「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」 を観た。 東京都現代美術館で開催中の企画展。 エヴァでお馴染み庵野秀明が館長となり、彼が影響を受けてきた特撮の世界が堪能できる。 ウルトラ警備隊などが乗り込む飛行機の模型から、特撮ヒー…

日本って面白い〜ファッションデザインのこと〜

「Future Beauty 日本ファッションの未来性」現代美術館で開催中の企画展。 高田賢三、三宅一生。 続いて川久保玲や山本耀司。 世界のファッションシーンに衝撃をもたらした日本人デザイナーたち。 黒の衝撃と言われた斬新なデザインから、次世代のデザイナ…

絵具の先の人間愛〜レーピンのこと〜

「国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展」 を観た。 19世紀後半から20世紀初頭のロシアは素晴らしい芸術家が数多く活躍した時代である。 文学ならドストエフスキー、音楽ならチャイコフスキー。 そして、美術のレーピン。その日本初の本格的回顧展とな…

客寄せパンダ〜マウリッツハイス美術館展のこと〜

「マウリッツハイス美術館展」 に行って来た。 リニューアルオープンした東京都美術館の企画展。 オランダの小さな宝石箱と言われるマウリッツハイス美術館のコレクション。 目玉はこれでもかと宣伝しているフェルメールの代表作「真珠の耳飾りの少女」だ。 …

異形の存在〜大人形博2012のこと〜

「DOLL EXPO2012」に行って来た。 グランドプリンスホテル新高輪で開催中の大人形博。 今年初開催で、公募作品とプロの人形、さらに人形の歴史、とにかく人形だらけの展覧会。 木綿で作ったノスタルジックな人形もあれば、生々しい球体間接人形、伝統的な民…

子どものイノセンス〜安藤正子のこと〜

「ハラドキュメンツ9 安藤正子 おへその庭」 を見た。 若手作家支援と若手キュレーター育成のために不定期に行われる企画。 今回は安藤正子というわけだ。 奈良美智と同じ師のもとで腕を磨いた注目の若手作家。 実物の作品を見るのは初めてだったが、 凄ま…

ヨーロッパ絵画の流れ〜ベルリン国立美術館展のこと〜

「ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年」 を見た。 上野の国立西洋美術館で開催中の企画展。 ベルリンに点在する国立美術館から、15世紀〜18世紀のヨーロッパ美術の傑作を集めたもの。 絵画だけでなく、木彫りや素描なども数多く展示され…

いろんな意味で面白い〜歴博のこと〜

「国立歴史民俗博物館」に行って来た。 千葉県佐倉市にはDIC川村記念美術館だけでなく、もうひとつ国立民族博物館、通称「歴博」がある。 なぜここにあるのかは謎だが、国立である。大学の研究施設としても利用されているようだ。 古代から現代までの日本史…