カリスマ続出〜シモンと70年代のこと〜

四谷シモン 著 「人形作家」 を読んだ。


私が人形の世界に興味をもつきっかけとなった四谷シモンの自叙伝。


人形作家としてお馴染みの四谷シモンではあるが、そこに至る過程は波乱万丈だ。
自由奔放な母親の元で育ち、ロカビリーを歌ってみたり、唐十郎状況劇場の舞台に女形として立ってみたりしながら、
ジャズバーで様々な人たちと出会っていく。


唐十郎金子国義コシノジュンコ篠山紀信嵐山光三郎、、そして澁澤龍彦
四谷シモンはいろいろ迷いながらも人形を作り続けていたのだが、澁澤が紹介したベルメールの人形が決定的となったようだ。
アングラ感あふれる70年代を駆け抜けていく歴史がとても面白かった。

役者として向田邦子久世光彦コンビの作品に多く出ていたのは知らなかった。
なんだか私の好きな人たちばかりが出てくる。
それだけすごい時代だったということなのだろう。


ちなみに四谷シモンのシモンはニーナ・シモンのシモンだ。
ニーナ・シモンもこれまた私が好きなジャズシンガー。
もっともこちらは、大好きな映画「ビフォア・サンセット」の影響だが。


ページを開くと出会った人への感謝の気持ちが溢れてくるようだった。
天才というイメージが強かった四谷シモンだが、人形作家へとなる過程は迷いの連続だったことが意外でもあった。
人形と人への愛情の強さは、この人形愛、人間愛が四谷シモンという人間の本質なのだろう。


シモン自叙伝として面白し、アングラ昭和史としても単純に面白い。
そして、この作品を読んで澁澤龍彦に対する尊敬の念が強くなったわけである。

人形作家 (講談社現代新書)

人形作家 (講談社現代新書)