2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

目と手は口ほどにモノを言う〜コミュニケーションのこと〜

渋谷昌三 著 「外見だけで性格を見抜く技術」を読んだ。 大学三年生あたりだったか、私はとてつもなく人間嫌いだった。 どう考えても社会に出ていけそうもない、一人旅をしながら自分の未来を憂えたものだ。 当時は今よりも本を読んでいた私は、人の心も読め…

男の在り方〜金時さんと川柳師匠のこと〜

私が男惚れしている落語家、三遊亭金時さんの落語を聞きに黒門亭に行ってきた。 私が落語にはまるきっかけとなった人で、三遊亭金馬の息子さんでもある。 唄や踊りをいくつも勉強していて、名人である父親とは違う味を出そうと努力している人なのだ。 私はこ…

あのとき何があったのか〜戦争と在日のこと〜

小熊 英二、姜尚中 著 「在日一世の記憶」 を読んだ。 自他ともに忘れがちだが私は韓国人とのハーフである。 アイデンティティこそ希薄ではあるが、在日という存在には関心がある。 在日を考えるには必然的に太平洋戦争の歴史を紐解く必要がある。 戦後65…

祖父母に願いを〜お墓参りのこと〜

先日、朝起きてすぐに思った――そうだ、お墓参り行こう 母を連れて、千葉県は鴨川へと向かった。 海と山に囲まれた寺。 長い階段を登ると祖父母に会いに来たという実感が湧く。 今回、折良く住職に会うことができ、お茶を飲む機会に恵まれた。 民俗学の学者が…

逆接のイメージ〜スカイ・クロラのこと〜

森 博嗣 著 「スカイ・クロラ」 を読んだ。 押井守によってアニメ化された作品。 森博嗣の作品だと「すべてがFになる」のいわゆるS&Nシリーズを何作か読んだ。 理系の内容と文章に翻弄された感があって、しばらく読んでいなかった。 「スカイ・クロラ」…

ぶーらぶら〜散歩のこと〜

先日、本郷近辺をぶらぶらした。 ここは都内でも私が好きなエリアのひとつでたまに来る。 樋口一葉や宮沢賢治ゆかりの地でもあるが、路地と階段が入り交じった何ともいえない味わいがある。特にこの写真の家。ここの横には樋口一葉も使っていた井戸もあるの…

雑評〜最近観た映画のこと(録画)〜

「転々」 三木聡監督、オダギリジョー、三浦友和主演のおしゃれな感じの映画。 私の嫌いなジャンルだ。基本的に都内を散歩して、いろんな人との出会いの中で、 家族のイメージを見つけるみたいな感じの内容。 つまらないが、なにげに私が好きな吉高由里子が…

 匠の描写〜蝉しぐれのこと〜

藤沢周平 著 「蝉しぐれ」 を読んだ。 良い小説には2種類あると思う。 ひとつは読者がその世界にすっと入ることができるもの。 もうひとつは、その世界が読者の中にすっと入ってくるものだと思う。 この作品は後者の最たるものかもしれない。 時代小説なの…

19世紀末の息吹〜マネとモリゾのこと〜

「マネとモダン・パリ」を見た。 丸の内に新しくできた三菱一号館美術館で開催されている企画展だ。 まず、この三菱一号館美術館自体も面白い。 1894年に日本初のオフィスビルとして建てられたものを完全に復元したものなのである。 レンガ造りの瀟洒な佇ま…

昭和という時代〜人間臭さのこと〜

川本三郎 著 「向田邦子と昭和の東京」を読んだ。高度成長に沸く日本の片隅の市井の人々を描いた向田邦子。 私の大好きな作家の一人だが、彼女の作品からは昭和の香りが色濃く感じ取れる。 作品と向田邦子自身の生い立ちをふまえて昭和を再考している内容だ…

 もはや別宅〜バーのこと〜

浅草の場末にある私の馴染みのバーだが、もうしばらくするとガールズバーに変わってしまう。 こんなに悲しいことはない。最高にくつろげる場であり、何でも話せる場所だったのに。 内装も変わるので今のうちにと写真を撮ってきたのだ。 私の話し方だと安そう…