性と生〜「ふがいない僕は空を見た」のこと〜

窪 美澄 著 「ふがいない僕は空を見た」 を読んだ。


R-18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。
田畑智子が体を張った映画が話題になっている。


コスプレ好きな主婦と高校生の関係を中心にした群像劇。
非常に評価が難しい作品だと思う。
高校生の主人公、コスプレ好きの主婦、主人公の友達、産婦人科の主人公の母親の視点で章がわかれているのだが、
メインの話である主婦と高校生の不倫だけみればくだらない話しなのだ。


だが、そこから派生していく話がなかなか深い。
主婦は不妊に悩み、友達は生まれた環境に悩み、母親は産婆という立場。
つまり性から生へ、生まれるという根源的な問題にテーマは移っていくのだ。


さっと読んだだけではわからないくらい自然に話は進んでいくが、
生まれるということ、生きるということは、どうしようもないことなのだということが非情なまでに描かれている。
おそらく読む人によって評価がわかれるだろう。


女による女のためのR18文学賞を取っているだけあって、性表現はなかなかすごい。
ちなみに、過去の受賞作の宮木あや子の「花宵道中」はおすすめだ。
映画もかなり評価が分かれているらしいが、正直、田畑智子の演技が気になる。。。

ふがいない僕は空を見た

ふがいない僕は空を見た