仮面の画家〜アンソールのこと〜

「ジェームズ・アンソール―写実と幻想の系譜」展 に行って来た。


損保ジャパン東郷青児美術館の企画展。最終日に滑り込んだ。
先日行ったポール・デルヴォーより40歳先輩のベルギーの画家で、
ベルギーのシュルレアリズムに影響を与えている。


アントワープ王立美術館から一挙に作品が来ており、
時代を追いながら、表現方法の変遷を見ることができた。
デルヴォーと同じく最初から自分のスタイルを確立していたわけではなく、
印象派を中心とした様々な画家のスタイルを見習いながら、模索していたようだ。


タイトルの通り、写実から幻想へと表現方法とモチーフが変わっていき、
最終的にドクロやお面、ピエロなどを多く描くようになるのだが、
その独特な画面は人間の本質をさらけ出すような、自己内省的な側面が強い。


彼が影響を受けたであろう作品なども同時に展示していて、面白かった。
09年にbunkamuraで「ベルギー幻想美術館」という企画展があったのだが、
そこでは、クノップフ、アンソール、デルヴォーマグリットの作品が一堂に集まり、
異様な企画展になったことがあるのだが、このタイミングでもう一度観たいと思った。


19世紀末からのベルギー美術はかなり魅力的だ。
単身ベルギーに行ったことがあるが、
幻想の中で世界を見つめる画家たちが闊歩している姿が、目に見えるような街並みと空気だったことをよく覚えている。
願わくば、もう一度ベルギーに行きたい。
あとワッフル食べたい。