維新の洋画家〜川村清雄のこと〜

維新の洋画家 川村清雄」展に行って来た。

江戸東京博物館の企画展。
川村清雄は維新後の動乱の時代、勝海舟の庇護のもとに活躍した日本人洋画家。
初となる大規模な回顧展で私も初めて知る画家だ。


旗本の生まれで、徳川派遣留学生としてアメリカへ、現地で画家の才能を見出されてパリ、ヴェネチアへと渡り、
11年の間、みっちり洋画を学ぶ。ジャポニズムが世界を席巻している中、その日本人らしさを忘れるなと言われ、
油絵の技法で日本的な美を生み出す画風が育まれる。


篤姫勝海舟を描いた肖像画もみごとだが、驚くのは風景画。
コロー本人に会っているだけあって、バビルゾン派のように瑞々しいタッチで日本の風景を描いているのだ。
本当に素晴らしかった。


黒田清輝高橋由一らが日本の洋画の重鎮として今も知られているのに、この川村清雄は忘れさられていく。
そこにはいろんな理由があり物語があるのだろう。それでも、彼は独自のこだわりを持ち続けていく。
今回は彼の人生そのものを追うべく、歴史的側面からの展示物も多くあり、美術ファンのみならず歴史ファンも楽しめる。


江戸博の企画展はいつも面白い、前回は狩野一信の五百羅漢図を全部展示するというものだった。
企画から展示方法までかなりのこだわりをみせる学芸員の気合に感服だ。
是非、この機会に。