その背景に何が〜ルネサンスのこと〜

池上 英洋 著「ルネサンス 歴史と芸術の物語」を読んだ。


美術に興味が無い人でも”ルネサンス”という言葉は知っているだろう。
15世紀くらいからイタリアから広まった芸術文化革命で、古代復興を目指したものだ。
ダ・ヴィンチミケランジェロラファエロボッティチェリまさに美術が花開いた時代といってもいい。


が、なぜこの時代に古代ローマへの復帰を目指したのか、なぜ人間性を重視したのか。
え? ルネサンスって結局何なの?


歴史的背景から説明は始まる。十字軍の存在、当時ヨーロッパで中心的都市だったヴェネツィアフィレンツェの社会構造。
古代ローマの共和制への憧れから始まったルネサンスへの動き。メディチ家の登場。
ルネサンスの前後の作品を比べて、空間、人間の表現の違いも教えてくれる。


大変にわかりやすい内容になっている。
これでようやくルネサンス芸術を見る目が少し養われた気がする。
この時代のフランドル地方では、私の好きなブリューゲルやヒエロニムス・ボスが登場するが、向こうはまた違った歴史があるのだろう。
これを機にもう少し美術の背景にある歴史を勉強していきたいと思った。


とにかく美術好きにはお勧めしたい作品である。

ルネサンス 歴史と芸術の物語 (光文社新書)

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