絵見た

灼熱の先の静謐〜DIC川村記念美術館のこと〜

DIC川村記念美術館 に行って来た。千葉県佐倉市にある美術館。 インクなどで世界的に活躍している企業DICグローバルの創業家のコレクションから始まった美術館である。 ジャパンマネーが威力で集めた感があるが、印象派だけでなく現代美術のコレクションが充…

うっとり官能美〜バーン=ジョーンズ展のこと〜

「バーン=ジョーンズ展 装飾と象徴」 を観た。 丸の内にある三菱一号館美術館で開催中の企画展。 19世紀イギリス、ラファエル前派といわれる絵画のムーブメントで活躍したバーン=ジョーンズの初の大規模個展。 川を流れるオフィーリアを描いたミレイやロセ…

包み込む光〜川内倫子のこと〜

「川内倫子 展 照度 あめつち 影を見る」 を見た。 気鋭の女性写真家である川内倫子の個展。 日常をモチーフにしながらも、その背後にある脆さ、その脆さゆえに美しさを表現している。 その作品の特徴は光。 女性写真家といえば今や蜷川実花だが、彼女の作品…

とにかく行ってほしい〜世界報道写真展 2012のこと〜

「世界報道写真展 2012」 を見た。 世界中から応募された報道写真の中から厳選されたものを展示する報道写真展。 写真美術館で毎年行われていて、私がとにかく見てほしいと常々言っているものだ。 去年は、なんといっても東日本大震災があり、世界的にはアラ…

美の歴史を追え〜エルミタージュ美術館展のこと〜

「エルミタージュ美術館展」 を見た。 国立新美術館で開催中の企画展。 ロシアのサンクトペテルブルクにある巨大美術館だが、所蔵数は300万点。 女帝であり、大帝と言われたエカテリーナ2世のコレクションが発端となっている。 今回、選りすぐりの作品89点…

時間を写せ〜杉本博司のこと〜

「杉本博司 ハダカから被服へ」 を観た。 原美術館で始まった企画展。 世界的評価の高い写真家である杉本博司の作品の中から、服をテーマに展示されている。 原始時代から現代、現代の中でもファッションという概念の流れ、つまり服というものを介して時間を…

人生賛歌〜ロベール・ドアノーのこと〜

「ロベール・ドアノー 生誕100年記念写真展」 を観た。 写真美術館で開催中の企画展。 誰しもが一度は見たことのある写真「パリ市庁舎前のキス」。 世界一有名なキスと言っても過言ではないだろう。 この一枚がパリへの憧憬を強くさせる。 今回、パリを愛し…

廃墟萌え〜ユベール・ロベールのこと〜

「ユベール・ロベール 時間の庭」 を見た。 国立西洋美術館で開催中の企画展。 ポンペイなどの遺跡発掘が盛り上がった18世紀フランスの画家、ユベール・ロベールの作品展。 彼は「廃墟のロベール」の異名を持つ。 まさに遺跡などの廃墟をロマンチズム溢れ…

弾ける色彩〜ジャクソン・ポロックのこと〜

「[ http://pollock100.com/about/:title=生誕100年 ジャクソン・ポロック展]」 に行って来た。 床に広げたキャンパスに、ドリッピングといわれる手法で、色彩をまるで躍動しているかのように描き、 アメリカのモダンアートを牽引した時代の寵児、ジャク…

ウルトラマリンブルー〜フェルメールのこと〜

「フェルメールからのラブレター展」 を見た。 渋谷のbunkamuraザ・ミュージアムで開催中の企画展。 日本で人気のあるフェルメールの作品が3点一度に公開されている。 フェルメールの作品は30数点しかない。 その中で手紙に関する三作品を一度に集めるあ…

痛みの向こう側〜松井冬子のこと〜

「松井冬子展 世界中の子と友達になれる」 を見た横浜美術館で開催中の初となる大規模な個展。 一度見たらなかなか忘れられない彼女の作品は、死や痛み、霊を連想させるものばかりだ。 だがそんな負のモチーフを日本画という繊細な手段によって、その向こう…

写真表現が広がり〜「日本の新進作家展vol.10」のこと〜

「日本の新進作家展vol.10 写真の飛躍」 を観た。 写真美術館で開催中の企画展。 現在注目を集める作家5名の作品が紹介されている。 単純に被写体と向き合うものではなく、コラージュや多重露光といった表現方法が駆使されており、 それによって今までにない…

和の美〜山種コレクションのこと〜

「ザ・ベスト・オブ 山種コレクション」 を見た。 日本画専門美術館である山種美術館の所蔵品の中でも、 文化的、美術的の価値が高いものを一堂に会した企画展だ。 前期と後期にわかれていて、今回は江戸から近代日本画の前期である。 なかなか見る機会のな…

絵画もアメリカ流〜モダン・アート アメリカンのこと〜

「モダン・アート アメリカン‐珠玉のフィリップスコレクション‐」を見た。 国立新美術館で開催中の企画展。 20世紀初頭、ヨーロッパで巻き起こった印象派という美術界の革命の波はアメリカまでも席巻していく。 現代アートの印象が強いアメリカだが、そこ…

時代も人も熱い〜近代美術のこと〜

「イケムラレイコ うつりゆくもの」と「所蔵作品展 近代日本の美術」 を見た。 私の美術鑑賞歴もかなり長くなってきたが、東京国立近代美術館に足を踏み入れるのは実は初めてである。 日本の浮世絵や現代美術は見ることはあっても、近代となるとちょっと二の…

キャパオーバー〜横浜トリエンナーレ2011のこと〜

「横浜トリエンナーレ」に行ってきた。 三年に一度の現代アートの祭典だ。 横浜美術館と日本郵船海岸倉庫を会場に絵画はもちろん巨大なオブジェやインスタレーションが展示されている。 現代アートの企画展はだいたい空いているのだが、なぜか横浜トリエンナ…

これが印象派〜ワシントンナショナルギャラリー展のこと〜

「ワシントンナショナルギャラリー展」を見に行った。アメリカの誇る美術館のひとつである同美術館の修理に伴い、 いまだかつてない規模と質のコレクションが海外へと貸し出された。 常時展示の珠玉の作品が一気に出ることは今までも無いし、これからも無い…

違う、そういうんじゃない〜ルパン三世展のこと〜

「アニメ化40周年 ルパン三世展」に行ってきた。 熊野のから帰ったその日の午後に、銀座へと向かった。 ルパン好きとしては行かざるを得ない。 71年に1stシリーズが放送されてから40周年、今も絶大な人気を誇るルパン。 日本を代表するアニメと言っても過…

試される審美眼〜アートフェア東京のこと〜

「アートフェア東京2011」に行ってきた。 国際フォーラムで三日間開催されるアートイベント。 全国133件のギャラリーが一同に集まって一押しの品々を並べるイベントだ。 ギャラリーなので、もちろんその場で購入することもできる。 最近はアジアの現代アート…

すごいことになってる〜「空海と密教美術展」のこと〜

「空海と密教美術展」に行ってきた。 国立博物館で始まった企画展。 そう簡単には門外に出ない国宝や十分がわんさか展示されている。 弘法大師こと空海が日本に伝えた密教。 その教えは難解ゆえに目に見える形であらわそうとした。 それが曼荼羅だ。 大日如…

世界を知る〜世界報道写真展のこと〜

「世界報道写真展 2011」 を見た。 毎年、かかさずに見に行っている世界報道写真展。 今年も恵比寿の写真美術館で始まった。 その名の通り、世界中の報道カメラマンが撮影した写真のコンクールである。 今、世界で何が起こっているか。 1枚の写真が語る真実…

つまりは超人〜羅漢さんのこと〜

「幕末の絵師 狩野一信 五百羅漢」 を観た。廃仏毀釈や戦災をもくぐり抜けた、増上寺秘蔵の仏画を一挙公開ということで話題になっていた企画展。 羅漢さんたちの日常や活躍を百幅もの作品にまとめたもので、その全てを一気に見る機会はそうあるものじゃない…

人生の光と闇〜レンブラントのこと〜

「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」 を観た。国立西洋美術館で開催中の企画展。 レンブラントの光の描写に注目し、今まであまり展示されてこなかった版画を中心とした展示になっている。 彼の版画はとにかく黒い、そして細かい。 オペラグラスを持っていけ…

それは完成された形〜白洲正子と千手観音像トルソーのこと〜

「白洲正子 神と仏、自然への祈り」を見た。白洲正子生誕100年、そして世田谷美術館開館25周年記念の企画展。 白洲次郎の奥さんでお馴染み、白洲正子は確かな審美眼に基づく紀行文を多く書いている。 その中では仏像や神像、能面などに触れている。その白洲…

現代アートの今〜原美術館コレクション展のこと〜

「Be Alive!-原美術館コレクション」 を見た。 私の好きな原美術館のコレクション展。 日本のアート界を担う現代アート作家の代表作が展示されている。 特に私が楽しみにしていたのが、やなぎみわの写真と束芋のインスタレーションだ。 やなぎみわは女性の本…

ニッチすぎる〜東大の博物館のこと〜

「健康と医学の博物館」に行ってきた。花曇りの日曜日。このブログのタイトルは「木蓮の下のマンドリル、そんなクロニクル」というのだが、私は木蓮の花が大好きなのだ。 花というより蕾の状態が良い。とにかく色っぽい。ただの白じゃない、色っぽい白なのだ…

驚きの色〜ボストン美術館浮世絵名品展のこと〜

ボストン美術館 浮世絵名品展に行ってきた。 広尾にある山種美術館で開催中の企画展。 ぼすとん美術館の膨大な浮世絵コレクションの中から選りすぐりの名品がやってきている。 ほとんどが日本初。おかえりなさい企画なのである。 明治以降、フェノロサなどに…

破壊と創造〜シュールレアリズムのこと〜

「シュルレアリズム展―パリ、ポンピドゥーセンター所蔵による」を観た。 新国立美術館で始まった企画展、20世紀の大きな絵画運動であるシュールレアリズムの全貌を紹介している。ここまで大きなのは久しぶりだ。 私が美術を好きになったのも、このシュール…

芸術の本質〜アウトサイダー・アートのこと〜

「3331 Arts Chiyoda」 に行って来た。ここは御徒町と秋葉の間にあった中学校を改装して作られた複合アート施設だ。 若手のアーティストの発表の場としてのギャラリーやワークショップなどを行う場になっている。 元々学校なので、ギャラリーも教室のように…

写実と実存〜ホキ美術館のこと〜

ホキ美術館に行って来た。 昨年11月にオープンしたばかりの、日本で初めての写実絵画専門の美術館である。 千葉の内陸、土気という場所にある。高速使って美術館に行くことになるとは。 写実絵画は簡単に言えばリアリズムの極み。まるで写真のように超絶技…