灼熱の先の静謐〜DIC川村記念美術館のこと〜

DIC川村記念美術館 に行って来た。

千葉県佐倉市にある美術館。
インクなどで世界的に活躍している企業DICグローバルの創業家のコレクションから始まった美術館である。
ジャパンマネーが威力で集めた感があるが、印象派だけでなく現代美術のコレクションが充実していることで知られている。


猛暑の中バイクで行ったのだが、想像以上に遠かった。そして信じられないくらいに日焼け、というかもはや火傷の域になってしまった。。


研究所の敷地内ということだが、イギリスの古城を思わせる立地。自然散策路もあり完成度がすごい。


この美術館で何が見たかったというと、マーク・ロスコの作品だ。
ジャクソン・ポロックと同時代にアメリカの現代美術を牽引した作家で、
色の微妙な変化を様々な抽象的構成で画面に広げた作品で有名だ。


彼はひとつの空間を自分の作品で満たすことにこだわる。
通称ロスコルームと呼ばれる空間は世界に三つしかなく、そのひとつがこの美術館なのだ。(あとはイギリスとアメリカにある)


実際足を踏み入れると異様な感覚になる。
もやっとした色彩表現に囲まれると、最初不安になるのだが、やがて静謐な優しさを感じるようになる。
異次元への扉にも見えるし、何か体内をイメージさせるようでもあある。
精神と肉体の境界を可視化したもの、そんなようにも思える。


他にも面白い作品がたくさんある。
ここはその作品を展示するために美術館自体をデザインしていたりするので、作品と美術館が一体となった不思議な空間になっているのだ。
遠い道のりを辿った甲斐もあるというものである。


ちなみに場所が相当にわかりにくく、地元の人に聞いても知らないと言われる始末。
駅から無料のシャトルバスも出ているので、大人しく電車で行くことを強くおすすめする。。。