包み込む光〜川内倫子のこと〜

川内倫子 展 照度 あめつち 影を見る」 を見た。


気鋭の女性写真家である川内倫子の個展。
日常をモチーフにしながらも、その背後にある脆さ、その脆さゆえに美しさを表現している。
その作品の特徴は光。


女性写真家といえば今や蜷川実花だが、彼女の作品は色のもつ光。つまり反射の色だと思う。
一方、川内倫子の光は光そのものの色が際立っていると思った。
学生が登る階段の光、道路に止めてあるバイクのミラーに反射する日の光。
日常の中にある光。
私的で、詩的。
特に女性は好きだと思う。

さらに
「光の造形 〜操作された写真」 を見た。
写美のコレクション展。
コラージュ、トリミング、多重露光といった技術によって広がった写真の世界を紹介している。
シュルレアリズムの流れから写真の世界でも表現の限界を超えようという努力があったわけだ。


今やパソコンで簡単にできる画像加工。
しかし、展示されている作品はどれも味わい深いものがあった。
夢と現実の間のような、まさに幻想芸術がそこにある。


というわけで報道写真展と合わせて三つの展示を見てきたことになる。
毎回、充実した時間を過ごさせてくれる写真美術館に感謝である。