驚きの色〜ボストン美術館浮世絵名品展のこと〜

ボストン美術館 浮世絵名品展に行ってきた。
広尾にある山種美術館で開催中の企画展。
ぼすとん美術館の膨大な浮世絵コレクションの中から選りすぐりの名品がやってきている。
ほとんどが日本初。おかえりなさい企画なのである。


明治以降、フェノロサなどによって日本の美術の価値が見い出され、
彼らの手によって膨大な美術品が4万点以上も収集されアメリカに渡った。
その多くは展示されることなく、保管されていたので、状態が大変に良い。
浮世絵は版画なので色の褪色が早いのだが、今回展示されているものの中には昨日刷ったような物もあった。


今回は曲線美の鳥居清長、美人大好きな喜多川歌麿、斬新大首絵の東洲斎写楽の三人を中心に展示されている。
どれも見どころ十分。
正直、今まで見てきた錦絵のイメージが変わる。
とにかく色の鮮やかさに驚くし、江戸の人々の息遣いが聞こえるような名作ばかりなのだ。


清長の品川の遊女の様子を描いた「美南見十二候 九月」、これが窓から見える黒い海と部屋の中の遊女の曲線美のコントラストにしびれた。
歌麿美人画、「難波屋おきた」、これは浅草のお茶屋の看板娘なのだが、今のアイドルプロマイドと変わらない感覚が面白い。
写楽に関してはそのインパクトにやはり驚く。そして背景の雲母摺りがキラキラとしていることにまた驚いた。本当に保存状態が良い。


浮世絵というと、なんだかみんな同じに見えるという人もいるだろう。
不思議と西洋画好きはいるが、日本画好きは少ない。そういう私も日本画に興味を持ったのは遅かったわけだが。
日本人である以上、日本の古典美術に触れるのはそれだけで意義がある。
知識が増えるとどんどん面白くなる。


西洋画には無い、余白の粋。曲線の美。優しい大和色。
浮世絵や錦絵に限らず、日本画が私の中で熱いのだ。
ようこそ日本へ。日本の美の扉を叩いてみてはいかがだろうか。