うっとり官能美〜バーン=ジョーンズ展のこと〜

バーン=ジョーンズ展 装飾と象徴」 を観た。


丸の内にある三菱一号館美術館で開催中の企画展。
19世紀イギリス、ラファエル前派といわれる絵画のムーブメントで活躍したバーン=ジョーンズの初の大規模個展。
川を流れるオフィーリアを描いたミレイやロセッティなどと同じように詩的で官能的な表現が特徴的。


描くモチーフも神話や物語などが多く、具体的な作品としてはピグマリオンやいばら姫がある。
自分が彫った彫刻の女神に恋をするピグマリオンの物語を四枚の連作で表現したものは素晴らしかった。
ピグマリオンの物語自体が魅力的なのだが、その神話のもつ抒情的な雰囲気がとても美しく表現されていた。


さらに素晴らしかったのが連作「いばら姫」の中の「ねむり姫」だ。
つまり「眠れる森の美女」なわけだが、とにかく登場人物がみんな寝ている。
こんなに眠っている女性をたくさん描いている作品もそう無いだろう。
その一人ひとりがとても愛らしく、そして官能的である。


このシリーズ、本当にバタバタとみんな寝てしまっているので、見ているとちょっと面白くなってくる。
最終的に、見てるこちらも眠くなる。。。


日本初となる作品も多く、見応え十分。
涼しげな人物像は体感温度を下げてくれるようだ。
三菱一号館美術館も19世紀末にデザインされたもの、つまりジョーンズと同時代なのだ。
その美意識の漂う空間で楽しむジョーンズの芸術は格別だ。


年齢を問わず女性からの支持が圧倒的なようだった。
19世紀末の美意識に触れる良い機会、是非。