絵画もアメリカ流〜モダン・アート アメリカンのこと〜

モダン・アート アメリカン‐珠玉のフィリップスコレクション‐」を見た。


国立新美術館で開催中の企画展。
20世紀初頭、ヨーロッパで巻き起こった印象派という美術界の革命の波はアメリカまでも席巻していく。
現代アートの印象が強いアメリカだが、そこに至るまでの美術史を辿ることができる興味深い内容だ。


光の表現を追求していく印象派の技法。
技法そのものは、なるほどヨーロッパの真似のように思えなくもない。
ただ対象となる自然がすごい。まさにアメリカンなのだ。
ヨーロッパの都市にはない雄大な自然にアメリカの画家たちは挑んでいるのが面白い。


そして時代を経るとともに、アメリカがアメリカらしくなるにつれ、美術も変化していく。
そこには都市化する世界の中にある歪みや孤独を表現していこうとする者が現れる。
ホッパーのその向こう側にあるものを暗示させる作品は物語を感じる。
女流画家として日本でも人気のオキーフの作品は、花や葉を接写したような絵なのだが、そこに人間のエロチシズムを見出せる。


現代アートの領域に入るとアメリカは層が厚くなっていく。
ジャクソン・ポロックマーク・ロスコの作品など訳わからない。
わからないが、わからないなりに本物の凄さを感じる。
微妙な色彩の変化、絶妙な構図。
とにかく実際見るしかない。


想像していたとおり、人はあまり多くない。
アメリカのモダンアートというだけで敬遠する人も多いのだろう。
だが、見て損はないと思うし、アメリカ絵画史を実際見ていける機会もないだろう。
会期が短いので早く行った方が良い。