現代アートの今〜原美術館コレクション展のこと〜

Be Alive!-原美術館コレクション」 を見た。


私の好きな原美術館のコレクション展。
日本のアート界を担う現代アート作家の代表作が展示されている。
特に私が楽しみにしていたのが、やなぎみわの写真と束芋インスタレーションだ。


やなぎみわは女性の本質に迫る作品で知られる作家で、
今回展示している童話シリーズでは、少女であるはずの赤ずきんちゃんが老婆の顔をしていたりと、
老いを凌駕する女性性とでも言おうか、いわゆるジェンダーというものを意識せずに見られない。


メッセージ性が強いにも関わらず、作品自体はどこか蠱惑的で魅力的。
実際にやなぎみわの写真を見て、その独特で完成された世界観に引き込まれた。


一方、束芋は去年横浜美術館で個展が開かれた若手の作家で、今年開催されるヴェネツィアビエンナーレの日本代表。
今、最も注目される作家だろう。
ノスタルジックで日本的なモチーフをふんだんに使った作品は、一度見たら忘れられない。
今回展示されている「日本の台所」は日本家屋を模した空間に日本の社会を風刺した映像が流れるというもの。
とても興味深いものだった。


やなぎみわ束芋も女性である。女性の現代アート作家の活躍が目覚ましいわけだが、
アラーキーこと荒木経惟の「センチメンタルな旅・冬の旅」も展示してある。
妻との結婚から妻の死顔までを辿ったもので、その日常性の美に驚いた。
最近思うのは、やはり写真もプリントではなく生を見なくてはいけないということだ。


というわけで、今回のコレクション展も実に充実した内容だった。
2時半から無料のギャラリートークがあるので、今回も参加した。
コンテンポラリーアートは説明を聞かないとなかなか理解が難しいものなのだ。
この美術館はミュージアムショップもカフェも素晴らしいので、とにかくおすすめの美術館。
是非是非、現代日本のアートに触れてほしい。