これが印象派〜ワシントンナショナルギャラリー展のこと〜

「ワシントンナショナルギャラリー展」を見に行った。

アメリカの誇る美術館のひとつである同美術館の修理に伴い、
いまだかつてない規模と質のコレクションが海外へと貸し出された。
常時展示の珠玉の作品が一気に出ることは今までも無いし、これからも無いだろう。
渡米する予定が今後一切ない私としては行かないわけにはいかない企画展だ。


本場フランスよりも早く印象派のコレクションが流行りだしたアメリカだけあって、
今回展示された作品も印象派を多く見てきた私も新鮮な驚きを感じるようなものが多かった。
「これを見ずに印象派は語れない」というコピーもあながちウソではなかった。


アカデミックな絵画スタイルとは離れたバルビゾン派から、マネなどの先駆者、
そしてドガルノワールといったTHE印象派、そしてセザンヌやスーラといったポスト印象派へと展示されている。
それにしても想像以上の人混み。
会期最後の日曜ということも手伝い、えらいことになった。
大きな作品は良いが、小さいものは見るのが大変である。


今回良かったのはメアリー・カサットやベルト・モリゾといった女流画家の秀逸な作品が見られたことだ。
カサットの作品をしっかり見たのは初めてで、なるほど女性ならではの子供の表情のとらえ方が、
印象派特有の光の表現との相乗効果で生き生きとしていた。これは当時の画壇でも好評を博したことだろう。


相変わらず晩年のゴッホの絵は激しいが悲しい。
自殺間近に描かれた白いバラの絵があったが、その悲しさったらない。
悲しいのに生命力がほとばしっている。
だからまた悲しい。
ゴッホの作品を見ると、最終的に「あーゴッホって本当にゴッホだな」って思うことになる。


印象派に食傷気味だった私も、あらためて印象派は面白いと思える企画展だった。