よくできました〜「クラコレ」のこと〜

奇跡のクラーク・コレクション‐ルノワールとフランス絵画の傑作‐」を見た。


三菱一号館美術館で始まったばかりの企画展。
アメリカの辺鄙な所にあるクラーク美術館。その印象派を中心としたコレクションが来日。


今回は同じく美術好きのY子さんと行った。人と美術館に行くなんて何年ぶりだろうか。
しかも美術好きと行くのは初めてかもしれない。若干、緊張する。


印象派はそれまでのアカデミックなサロン中心美術のカウンターとして生まれた表現方法。
絵具の進歩により屋外で描くことができるようになり、光をとらえようという試みがなされていく。
伝統と改革がぶつかる19世紀中ごろから20世紀前半は、ルネサンス期と同じように熱く、面白い時代なのである。


今回は印象派だけでなく、写実的な作品もいくつか展示されていて、それが実に良かった。
もちろん印象派も面白いのだが、あらためて王道のアカデミックな絵画の美の素晴らしさを確認した。


伝統を壊し新しいものを生み出す。それもやがて古くなり、また破壊しては創造を繰り返す。
美の終着点は果たしてどこに至るのか。
プリミティブなものから始まり、ついにミニマルアートへと行き、そこを越えてアーティストは彷徨う。
それを見ている私たちも彷徨する。


そんな面倒な話にもY子さんはついてきてくれるのでありがたい。
三菱一号館美術館らしく、アーティストごとにキャプションがあるので初心者でも楽しめる。
展示の間隔も良いし、良くできているという印象だった。


お気に入りは若かりしドガの自画像。
市井の人々やバレリーナを描いたドガはあまり自画像のイメージが無い。
そんな彼の20歳の顔は野心と猜疑心にあふれる尖りに尖った顔。
いい面構え、だった。


誰にでもお勧めできるクラコレ。是非。