子どものイノセンス〜安藤正子のこと〜

ハラドキュメンツ9 安藤正子 おへその庭」 を見た。


若手作家支援と若手キュレーター育成のために不定期に行われる企画。
今回は安藤正子というわけだ。
奈良美智と同じ師のもとで腕を磨いた注目の若手作家。


実物の作品を見るのは初めてだったが、
凄まじいほど細かい描写と独特の質感に驚いた。
ひとつの作品を仕上げるのに長い時間をかけるので作品が少ないというが、これならうなずける。


ただ、好きか嫌いかと言われれば嫌いである。
私は子供をモチーフとした作品がそもそも嫌いというか苦手なのだ。
それこそ奈良良知などはその最たるものだが、
子どものもつイノセンスを全面に押し出されると、
そこに偽善、あるいは偽悪的なものを感じてしまうのである。


まぁ、それは私の人間性に問題があるからだろうけど。。。


2階の展示室ではコレクションの一部が展示されていたのだが、
そこに加藤美佳の作品があった。
彼女も安藤正子と同じ世代で同じ人に師事している。
現代美術館に彼女のカナリアという作品があるのだが、これも少女の絵なのである。
厳密にいうとわざわざ造った少女の人形の肖像画


私が衝撃を受けた作品のひとつで、
奈良美智や安藤正子とは違うアプローチでイノセンスを表現している感じ。
子どものもつ悪意、つまりは人の性悪な部分を垣間見せるようなところが私の好みだったのである。
好みの問題なので、良い悪いというものではない。
ただ、いかにも女子受けしそうな雰囲気が苦手な私としてはこういう感想になってしまうわけだ。


ただ表現力は半端ない。
そしてこの人は描くのが好きなんだな、と心底思った。
今後、どういう作品を作っていくのか。
そして加藤美佳との戦い(勝手に想像)はどうなるのか。
今後も愛知アートシーンが熱くなりそうだ。