絵具の先の人間愛〜レーピンのこと〜

国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展」 を観た。


19世紀後半から20世紀初頭のロシアは素晴らしい芸術家が数多く活躍した時代である。
文学ならドストエフスキー、音楽ならチャイコフスキー
そして、美術のレーピン。その日本初の本格的回顧展となっている。


といっても、私は正直ほとんどその存在を知らなかったのだが、今回作品を見て非常に感銘を受けた。
特筆すべきは肖像画
その洞察力、表現力は今まで見た肖像画とは違う。
その内面性を描き出す画家はいるが、レーピンのそれは存在感がすごい。
そこにいるような緊張感、空気の揺れのようなものを感じた。


その根底には人間賛歌のような、人間の業を肯定するような優しく、それでいて厳しい姿勢があったのではないだろうか。
いろんな絵を見てきたつもりだったが、まだ見ぬ素晴らしい画家がいることに感謝したいほどだ。


フェルメール旋風によって、まったく注目を浴びていないが、この企画展はかなりお勧めしたい。
日曜日でもお客が少なく、じっくりと堪能できる。
実にいい時間を過ごすことができた。
大満足。