よかくに人の世は住みにくい〜「何者」のこと〜

朝井リョウ 著 「何者」 を読んだ。


「霧島、部活やめるってよ」でお馴染みの著者の直木賞受賞作。
就活中の学生たちの日常から現代人、特に若い世代が抱える影を描く。


フェイスブックツイッターをコミュニケーションツールとして日常的に使う世代。
彼らは他者を見続け、他者から見続けられている。
それは自分が常に何者かであることを要求されるということに他ならない。


他者に対する目を意識するということ、また他者を見るということ。
それは時に残酷なまでに恥ずかしく、痛ましく、悲しい。
それが可視化されてしまったのだから、これは大変なことだ。


より若い世代はそんなこと意識せず、自分を使い分けたりするのだろうが、
それでも、アイデンティティが揺らぐきっかけが増えたことは間違いない。
今の若者の日常なのだろうが、私にはすごく新鮮だった。
そして、この著者の感性の新しさに驚いた。


良い本かどうかは分からないが、面白いことは間違いない。
ひとつ文学の流れが変わった気さえした。


それにしても、私の世代はSNSを利用する人、しない人が分かれる世代だと思う。
私は使わない派だ。そんなにつながっていたくない。。。
今、中学生くらいでSNSを使わざるをえない状況を考えるとぞっとする。


なにか人格形成の成り立ちも変わっていく気がする。
やりにくい世の中である。
話しは逸れたが、お勧めだ。