もはやマンガ〜白洲次郎のこと〜

北 康利 著 「白洲次郎 占領を背負った男 上」 を読んだ。


美術好きには白洲正子の方がお馴染みであるが、その夫である白洲次郎の伝記。
終戦後、GHQと渡り合った男である。
上巻ではその生い立ちと終戦を迎える頃までの次郎の人生がつづられる。


ちょっともう信じられないくらいの人物。
とんでもない金持ちであり、外国人顔負けのスタイルとウソみたいな男前。
そして破天荒でありながらも人情があり、分析力と行動力を兼ね備えた男。
もはやマンガの世界である。


溢れるバイタリティが日本のためという方向にどんどん注がれていく。
その姿は日本人として胸を打たれずにはいられないはず。
敗戦で疲弊しているところに、占領という前代未聞の状況でどう交渉していくのか。


特に日本国憲法が作られていく過程は面白い。
今、ようやく改憲の熱が上がっているわけだが、その憲法がいかにアメリカの独善によって作られたか。


憲法については私は悪いとは思っていない。
この憲法がこれほど続いているのは日本の特殊性によるし、ほとんど奇跡に近い。
この憲法の問題しかり、領土の問題しかり、
敗戦前後の日本の歴史はよく知っておくべきだと、あらためて思った。


先人の思いというものを知った上で考えるべきことな気がする。
ナショナリティというものが好きではない私だが、日本の住んでいる以上は日本人ということを意識せざるを得ない。
その上でよりよい選択を未来に向けてしなくてはいけないわけである。


かっこいいにもほどがある白洲次郎の人生。下巻が楽しみである。


白洲次郎 占領を背負った男 上 (講談社文庫)

白洲次郎 占領を背負った男 上 (講談社文庫)