逆接のイメージ〜スカイ・クロラのこと〜

森 博嗣 著 「スカイ・クロラ」 を読んだ。
押井守によってアニメ化された作品。
森博嗣の作品だと「すべてがFになる」のいわゆるS&Nシリーズを何作か読んだ。
理系の内容と文章に翻弄された感があって、しばらく読んでいなかった。


スカイ・クロラ」シリーズは評判が良いため読んでみたいと思っていたのだ。
シリーズ第一作だけだと、その世界観はあまり見えてこない。
永遠の子供、死なない命、ショウとしての戦争、キーワードだけが浮いてくる。
著者ならではの科学的な部分も多いが、始終乾いたような、金属的な文章が続く。


この作品だけだと評価しにくい、シリーズ全部読んで見えてくるものがありそうだ。
全部で6巻あるらしいから、どうしよう……。
子供と戦争、生命と虚無という相反するイメージをかなり押してくるのだが、
あまりこういうやり方は好きではない。否定はしないが、好きではない。
ちょっとズルい気がしてしまうのだ。


実際、子供兵というものが実在する以上、
イメージとしての子供を戦争に重ねるのはおかしな話しなのである。
スカイ・クロラは空と子供という純粋なイメージありきと考えるべきかもしれない。
つまり、純粋につながるはずのものに介入する戦争。そういう意味では面白い。

スカイ・クロラ

スカイ・クロラ