19世紀末の息吹〜マネとモリゾのこと〜

マネとモダン・パリ」を見た。
丸の内に新しくできた三菱一号館美術館で開催されている企画展だ。
まず、この三菱一号館美術館自体も面白い。
1894年に日本初のオフィスビルとして建てられたものを完全に復元したものなのである。
レンガ造りの瀟洒な佇まいは堂々たるものだ。
中のカフェ1894も当時の雰囲気を堪能できる造りになっている。


1894年と言えばパリでは印象派が活躍した時代。
その印象派という絵画の革命の発端となったのがエドゥアール・マネだ。
栄えある第一回目の企画展としてふさわしい。
マネの個展というのは意外に無いのである。


今回の目玉はベルト・モリゾの肖像が5枚も来ているのである。
このベルト・モリゾというのは印象派の女流画家なのであるが、
モネがモデルとして10枚ほど描いている。
黒い衣装をまとったモリゾの肖像画はそれまでのアカデミックなものと違い、
彼女の内面性が現れた、素晴らしい作品なのだ。
マネというと草上の昼食やオランピアといった当時衝撃的だった作品が注目されるが、
やはりベルト・モリゾの絵が私は好きだ。


モリゾはマネと弟と結婚するのだが、それ以降ぴたりと彼女を描いていない。
二人の間に男女の感情があったのかどうかは謎だが、
マネのモリゾを見る目に愛情はあったように思える。そういう絵なのだ。


ちなみにこのモリゾの絵もまた素晴らしいものが多い。
男社会であった当時のフランス絵画の世界で、
彼女の母子をテーマにした絵は、印象派の手法が合っていたとみえて素晴らしいのだ。


洋館のような美術館の中でマネと絵を見る。
これはなかなか気持ちが良かった。
印象派の絵は正直言うと食傷気味だったが、やはり良いものだと思った。


良い気分のまま美術館の中庭に行ってみた。
こはちょいとしたヨーロッパの庭園のようになっている。
平日はOLさんがランチとかしていることだろう。そのときに行きたい。。。