人間とは〜「夜と霧」のこと〜

ヴィクトール・E・フランクル 著 「夜と霧」 を読んだ。

NHKの「100分de名著」という番組をずっと録画して見ているのだが、
そこで取り上げられ、読まずにはいられなかった。


被災地で売れているというこの本は、
ナチスによるユダヤ強制収容所において、絶望しかない極限状態の中で、
精神分析学者であるフランクルが人間を観察し、
人間はどう生きるべきかという命題に迫る。


強制収容所の悲惨な事実よりも、その中で生きる人たちを冷静に追っていく。
なにより信じられない絶望を乗り越えた著者の言葉は説得力があり、とても深い。

フランクルは言う。
なぜ生きているかと問う必要はない、人生が私たちに問いかけているのだから、その問いに答えるべきだ、と。


どんな絶望的な状況であろうと、たったひとつ、あたえられた環境でいかにふるまうかという、人間としての最後の自由だけは奪えない、と。


ずっしりと心の深部に響く言葉だと思った。
人生が私たちに問うているという発想は無かった。
その問いに真剣に応えること。


私のような自意識過剰なエゴイストには本当に厳しい言葉だが、
きっとこの言葉に救われる人は多いのだろう。
だからこそ世界中でベストセラーになっているのだ。


この本は是非読んでほしい。
買って、置いておくべきだ。
生きていれば絶望に押しつぶされそうになることもあるだろう、そんなときまたこの本に手をのばすはずだから。

夜と霧 新版

夜と霧 新版