すべて受け入れろ〜最強の運命論のこと〜

佐々木敦 著 「未知との遭遇: 無限のセカイと有限のワタシ」を読んだ。


批評家・佐々木敦の近著。
音楽、文芸、演劇、マンガやアニメに至る多分野にわたるポップカルチャーを紹介しながら、
現代を生きるための、著者が唱える運命論が展開される。


とにかく内容が多岐にわたっていて要約するのが困難だ。。。
大きく3章にわかれている。


知識の本質に迫るオタク論の第一章。


選択するということによって引き起こされる後悔。
だがタイムマシンが無いこの世界では受け入れる他の道はない。
そのための運命論。
時間の概念を考察した哲学者たちを紹介しながら、偶然と必然の関係の問題性を提起する第二章。


著者が提唱する最強の運命論が展開される第三章。
すべては決まっている。だからやらない。ではなく、
すべては決まっている。だからやってみる。そうしないと結果は生まれない。
生まれた結果をとにかく受け入れる。
こう書くとつまらないロジックではあるのだが、そこに至るまで長いみちのりがあるわけなのだ。


最終的にアイデンティティーの多重性を認め、未知なるものに対して好奇心をもって対峙することを提唱する。
過去とは「どうなるかわからなかったが、こうなったもの」
未来とは「決まっているのだが、わからないもの」
そう考えることによって、世界を肯定する。


すべては決まっているというと、厭世的でアイロニカルに思えるが、その決まったことはあとになってわかること。
偶然もすべて必然。運命はその偶然によってあなたの意志から遮断されている。なら選択しよう、動いてみよう、と。



何を言ってるんだお前はと思われるかもしれないが、とにかくややこしい本なのである。
が、なんだか前向きな本でもある。
私自身、すべてを理解できたわけではない。
ただ、何かヒントを得たことだけは確かだ。

未知との遭遇―無限のセカイと有限のワタシ

未知との遭遇―無限のセカイと有限のワタシ