リアルな女性〜「ワンちゃん」のこと〜

楊 逸 著 「ワンちゃん」 を読んだ。


中国人作家として初の芥川賞を獲得したヤンイーさんのデビュー作。


日本人の夫と姑と暮らしながら、中国人女性と日本人男性の結婚の斡旋をしている中国人ワンちゃんの、
ユーモラスだが、ひっそりと悲しさが漂う物語。


日本の地方独身中年と中国の農村独身娘とのマッチングのリアルさは面白い。
ストーリーの深さはあまりないけれど、なんだか好感のもてる作品だ。
ワンちゃんという響きのせいかもしれない。


老処女という書下ろしも入っているのだが、日本の大学で奮闘する中国人女性が主人公の物語。
こちらもユーモアとシリアスのバランスがすごく良かった。
中国人というよりも女性としてのリアルさがあるように思える。
格好つけすぎず、かといってだらしないわけでもない、そういう普通の女性が出る小説って意外に少ないのではないだろうか。


新聞や雑誌のコラムで立て続けに見かけたので、これは読めという天の思し召しと思って手に取ったわけなだが、
他の作品も是非とも読んでみたいと思う。


ワンちゃん

ワンちゃん