大災害アーカイブ〜大災害の記憶のこと〜

映画 「その街のこども 劇場版」 を観た。


ダンスを見に両国へ行った時、以前から気になっていた東京慰霊堂に行って来た。
ここは関東大震災東京大空襲で亡くなられた人たちを慰霊している場所だ。
東京という街は破壊と再生を繰り返しているわけである。


敷地内に東京都復興記念館というのがある。
関東大震災の貴重な記録や復興への道のりを知ることができる。
無料なのだが、客は私一人。。。ちょっと怖い。
この建物自体が昭和6年モノで、管内の雰囲気が抜群に良い。


関東大震災の脅威や空襲の恐ろしさは歴史の授業でも習った。
空襲では8万人以上死んでいる。
頭ではわかっていても実感がない。


3・11はまだ記憶に新しいだろう。
では阪神淡路大震災はどうだろうか?
神戸も復興し、終わったものと思っていないか。


この映画は震災か15年が経った新神戸の駅で出会った男女が、
三宮まで寄り道しながら夜通し歩いていく。
少しずつお互いのことを話し合い、踏み込んだり、黙ったり。
仕事のこと、子供の頃のこと、友人を亡くしたこと、神戸にいられなくなったこと、


あの時被災したすべての人に物語があることに気付かせてくれた。
15年経っても風化しない記憶があり、街は新しくなっても、心は簡単に新しくできないということ。
主演の森山未来佐藤江梨子。基本的のこの二人のみだ。
2人は実際神戸出身で震災を知っていて、方言も自然だ。


無理やり当時のことを押し付けるようなものではなく、
観ている方も少しずつ同期して感情移入し、記憶が蘇るような感じだ。
ロードムービー的要素の映画は大好きなのだが、映画という視点でもよくできていると思う。


東日本大震災からもうすぐ1年。
東京にいるとすっかり元の生活に戻った感じがするが、とんでもないことなのだ。
今、ここにある日常がどんなに奇跡的か。
東京慰霊堂やこの映画といったさまざまな大災害アーカイブに触れて、たまにはそういうことを思い出す必要があると思う。


悲劇の断片を見るのは決して気持ちの良いものではないが、忘れてしまうのはやはり罪なわけである。

その街のこども 劇場版 [DVD]

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