克服したい〜ナショナリズムのこと〜

森巣 博 ・姜尚中 著 「ナショナリズムの克服」 を読んだ。


癒しボイスでお馴染みの政治学者の姜尚中さんと、オーストラリア在住のギャンブラーであり作家の森巣博の対談。
在日としてのアイデンティティにこだわり、苦しんだ姜尚中さんと
アイデンティティからの解放、つまりナショナリズムからの解放を目指した森巣氏。
対照的な二人がナショナリズムについてざっくばらんに、時に熱く語っている。


物と人と情報がボーダレスに世界をかけ回るグローバル社会。
感覚的にも物理的にも世界は狭くなっているのにもかかわらず、いやだからこそナショナリズムというものが注目される。
中国人でも韓国人でもない、特別な日本人という意識。
それは内在している差別意識の上に作られている。


世界経済をけん引している中国。
車もモバイル産業も日本の上を行っている韓国。
その現状を目の前にしても、どこかで思っているのだ。
いや信じようとしている。神の国だと。日本は特別だと。


これほど呑気な国民は確かに特別かもしれない。
いったい、このナショナリズムというやっかいな概念はなんなのだろう。
島国根性なのだろうか。
戦争の歴史を無意識に引きずっているのか。


ナショナリズムの克服というタイトルにひかれて読んだが、これで克服はできない。
が、いろんな知識は身に着いた。
自分の中にあるレイシズムナショナリズムを私は捨てたい。だがあるのだ、確かにある。
この葛藤はまだまだ続くのだろう。。。


ナショナリズムの克服 (集英社新書)

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