そろそろ準備〜親の老後のこと〜

上野千鶴子 古市憲寿 著「上野先生、勝手に死なれちゃ困ります 僕らの介護不安に答えてください」 を読んだ。

東大大学院生にして若手社会学者として注目されている古市君と
フェミニストのパイオニアにして最近は「おひとりさまの老後」など、老後や介護の分野も研究している上野さんの対談形式の新書。


今を生きる若者が抱える漠然とした不安と不満。
親の老後が支えられるのか、そして自分の老後は?
世代間格差を感じながらも、親という大きな存在の下にいたいと思う気持ち。
そういった意見に対して、上野さんがズバズバと具体的かつ論理的に回答していく。


私の父親はもうすぐ70歳になる。
今も現役バリバリで働いているが、それでもいつかはリアルな老後を迎えることになる。
果たして私はその準備ができているか。
否である。気持ちも、知識も、お金も準備できてない。


この本を読んで、それがすっきりと解決できるというわけではない。
が、覚悟というか、気持ちは落ち着いた気がする。
様々な老後の具体例や介護保険の意味を知ることができたし、
親の老後を考えるということが、そのまま自分の人生を考えることということが確認できた。


私のような出来の悪い子供を不自由なく育ててくれた両親に、私はものすごく感謝している。
恥ずかしげもなく言えるほどだ。なにせ心配と迷惑をかけてきた。
だからよりよい老後を過ごしてほしいと心から願っている。
それには私自身がしっかりとしなくてはいけない。
地に足つけて、親を支えるという気概を養わなくては。


30代の今からきちんと考えておくべき案件なのだ。
これは絶対に避けられないことなのである。
そのためにはこの本を是非とも一読してほしい。
おすすめというか、読まなくてはダメと言ってもいい。


内容自体はまったく難しくないし、対談形式なのですいすい読める。
古市君に共感したり、上野先生の言葉に背筋の伸ばしたり。
とても楽しく読める一冊だ。