バーでレッスン〜ある夜のバーでのこと〜

特に飲む予定のない土曜は一人でバーへと繰り出す。
その日はやる気ないバーテンHがいるバーBへ。


雨ということもあり、他に客はいなかった。
しばらくHさんと話していると、カランコロン。
見るからにサブカル好きな女の子といった、ボブのメガネが。


Hさんが小さい劇団の演出をしているChiさんだと紹介してくれた。
一人で演劇を見に行く男というのはどうやら珍しいらしく、Chiさんも食いついてきた。
しばし演劇トーク
私が最高の芝居と思っている、深津絵里の春琴。この演出家のサイモン・マクバーニーのことなどを教えてくれた。


よし、より突っ込んだ芸術論でも語ろうかと思ったらカランコロン。
常連のHalさん登場。
強引に話に巻き込み、盛り上がり始めたころ、またまたカランコロン。
青い目の長身の男が私の隣に座った。
全員がたじろぐ。


彼の名はSai。イギリス人で小学生に英語を教えているそうだ。
日本人の奥さんと暮らしているらしいが、日本語が苦手。
で、勉強するためBARに来たそうだ。
マグ先生と言われたからには付き合うしかないではないか。


彼の大好きだというニルヴァーナを流しながら、日本語の勉強。
その日2時半起きの私は0時過ぎたあたりで帰りたかったが、帰してくれない。
一杯おごるからと言われたら帰れない。
Saiはジンライムをチェイサーにビール飲んでる。


1時を過ぎて限界よろしく。
私も酔いと眠気でおかしくなってきた。
結局、肩組んで(私は届かないので腰)、店を出た。


こんな場末の下町で「See You」なんて言うことになろうとは。
言ったあとで若干恥ずかしくなったが、とても楽しい夜だった。