悪のブレーキ〜悩む力のこと〜

姜 尚中 著 「悩む力」 を読んだ。

いい声過ぎる政治学者でお馴染みの著者が思考することのヒントを、
漱石ウェーバーを例に解説している。
驚くほど薄い内容である。好きな人なのでがっかり。


それはさておき、「悩む力」というタイトルには違和感を感じずにはいられない。
私なんかは悩んでばかりである。「悩まない力」の方がよっぽど欲しい。
物事をよく考えると言えば聞こえもいいが、
優柔不断と言えば、そうとも言えるわけである。


しかし、震災以来、悩んでいる人は増えただろう。
将来のビジョンから放射能の影響まで、個人の判断を迫られる機会が増えたのだから仕方ない。
会社、家族、政府、時代。
誰でもない、自分の責任で判断するべきことがある、という当たり前のことを再確認した人も多いだろう。


生きる意味や自分の存在といった意味に正解はあるわけないが、悩んでこそ見えてくることはある。
だいたい、そこのとこ悩まないと人生はつまらないんじゃないかと思う。
私は悩んでいる人が好きである。
悩むということは、”悪”のブレーキだと思うし、”善”のガソリンのようなものだから。


慢性思春期の私は今日も今日とて悩むわけである。

悩む力 (集英社新書 444C)

悩む力 (集英社新書 444C)