新しい時代小説〜天地明察のこと〜

冲方丁 著 「天地明察」 を読んだ。


去年の本屋大賞を受賞して話題になった作品。来年映画化するらしい。
本屋大賞自体に疑問を感じていた私だが、この作品はなかなか面白かった。


時は江戸。将軍家お抱えの碁打ち衆の一人、渋川春海
彼は囲碁の専門家でありながら、算術を囲碁以上に愛していた。
その腕を買われて、今までの古い暦を刷新するべく命を受けることになる。
だがその道のりは長く険しい。
様々な人との出会いによって成長していく春海の姿を描いたドラマだ。


時代小説でありながら、数学や天文学囲碁といった、およそ時代小説には似合わないものがテーマになっている。
主人公の算術という新しい学問に対する真摯な熱意、その素直な性格は人に対しても同じなのだ。
その姿勢がとても印象深かった。
そして学ぶことの楽しさが伝わってきた。
読み終えて、もっと勉強しなくちゃと素直に思える。


本屋大賞取るくらいだから、文章も読みやすい。
若いうちにこういう本に出会えていたら、もう少し勉強していたのではないかと思う。。。
500ページ近いボリュームだが、飽きさせないストーリー展開。


原作者は同い年ということに驚く。
元々ライトノベル作家で、ゲームやアニメの原作を手掛けていたらしい。
それでいきなりこの作品。わからないものである。今後の活躍を期待したい。


天地明察

天地明察