不条理の極〜アリスのこと〜

ルイス・キャロル 著 「不思議の国のアリス」 を読んだ。


私は今でこそ読書好きだが、高校生になるまではろくに本など読まなかった。
なので子供の時に読んでいるべきものを読んでいないことが多い。
これもそのひとつ。
30過ぎたおっさんが読んでいると、少々不気味な気もするが。


童話、ファンタジー、この作品をどうカテゴライズするべきか。
私ならホラーである。
読んでいて、本当に怖かったのだ。
とにかく不条理。純粋な不条理だから怖い。


安部公房の小説のような、向こう側に何かが見える不条理なら耐えられるが、
アリスの不条理は理由が無い。
子供の感性はその不条理さをすんなり受け入れ、その世界を楽しめるのだと思う。
だが、常識にとらわれた現実を生きるようになった今は、受け入れがたい世界。


少女たちに即興で聞かせた物語が元になっているということだが、すごいことだ。
教訓や説教じみたものになりがちだが、この本当に不思議な話を作ってしまったセンス。
シュール・レアリズムの世界に通ずるような気がする。


この作品の文化的影響は計り知れない。
それだけ、いつ、だれが読んでも新鮮で、強烈なイメージを与えるということだ。
もし未読なら、読んでおくべきだろう。