丸出し〜太田光と作品のこと〜

太田光 著 「マボロシの鳥」 を読んだ。


爆笑問題太田光の処女小説短編集。
以前も書いたことがあるのだが、面白い本には2種類あると思う。
ひとつは純粋に内容が面白い作品、もひとつは作者の人柄が見える作品だ。
この作品は後者である。


おそらく批判も多い作品だろう。こういうタレントの本、特に小説は叩かれてナンボみたいなところがある。
太田さんが好きか嫌いかで評価も変わるだろう。
私は結構好きだ。爆笑問題のラジオもずっと聞いてるし、NHKの「爆笑問題のニッポンの教養」も大好きな番組のひとつだ。
読書家で知られる人だが、向田邦子好きという点でも共感できる部分が多いのだ。


この作品はそんな太田光が全面に出ている。拙かったり、訳わからなかったり、乱暴だったり、とてもヒリヒリしている。
このヒリヒリした感じが太田光の魅力であり、そのままこの作品の魅力だと思う。
伝えたいことが多すぎて、ぐわぁってなってしまった感じがいいのだ。


戦争というものに対して特別熱くなる傾向のある人だが、この小説でもそのまま戦争と平和について伝えようとしている。
私はそういうものより、太田さんが熱くなる”表現”というキーワードのほうが好きで、その表現をテーマにした短編もあった。
とにかくどの作品も太田光らしい、といえるだろう。


つまり、太田光が好きなら読めばいいし、嫌いなら読まなければいいと思う。
でも太田さんはラジオで「批判するのは大歓迎、ただ無視だけはしないでくれ」と言っていた。
こういうことを言える人って、なかなかいないと思う。
だから嫌いな人も読んでほしい。ヒリヒリ感は感じると思う。

マボロシの鳥

マボロシの鳥