SFかホラーか〜「新世界より」のこと〜

貴志祐介 著 「新世界より 上」 を読んだ。

ホラーのイメージの強い作家だが、これはSFである。
1000年後の日本、呪力を扱うことができる世界の子供たちの冒険の物語。
ハリー・ポッター指輪物語を日本風にしたような世界観で、結構複雑な設定だ。


でもただのファンタジーではなく、著者ならではのホラー要素も多く盛り込まれている。
主要な登場人物たちは子供だが、大人が読むSFとしての完成度はかなり高いように思える。


徹底的に人間の攻撃的な本能を押さえ込むように仕組まれた世界の構造に、
子供たちは愕然とし恐怖していく。
深読みするならば、人間の本質をどう肯定していくべきか、という問題を提示しているようにも思える。


とにかく、下巻が気になって仕方がない。
500ページのボリュームだが、それを感じさせない面白さだった。


新世界より (上)

新世界より (上)