余韻の美学〜夜消えるのこと〜
藤沢周平 著 「夜消える」 を読んだ。
市井の人々の悲哀を、藤沢節の効いたのんびりとした文章で綴った七編の短編集。
劇的なストーリー展開はないのだが、先に書いた悲哀というものをじんわり感じる。
暮れていく一日のような、どうしようもなさを自然に描いているのがすごい。
江戸の人々の息づかいが聞こえてくるような、藤沢文学の秘密はなんだろう。
とにかく自然なのだ。時代小説を読んでいる気がしない。
当たり前のように話しが始まり、微かな余韻を残して終わっていく。
説明はできないが、これが大人の読む小説、ではないだろうか。
- 作者: 藤沢周平
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1994/03/10
- メディア: 文庫
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