バージンロードの侍〜Tの結婚式のこと その1〜

ついにTの結婚式が来た。


嫁より目立ってやると意気込んでいた恐妻Aと駅で待ち合わせして式場に向かった。
「カワイイだろ?」といつものように確認をとるA。その後約7回聞かれることになる。


さっそくホテルで迷子になっていると、写真撮影しているTと出くわしてしまいグダグダ感倍増。
そうこうしているうちに全員集まった。全員集まるのは久しぶりなのだが、あまり新鮮味はない。
そもそもゆるい集まりだが、結婚式でもゆるい。緊張感ゼロ集団である。
そうしているうちに挙式が始まる。


教会式であるが、何度やっても違和感を覚える。なぜに慣れない賛美歌を歌わないといけないのか。。
アーメン♪ とか言ってる自分が面白くて仕方ない。
宣誓、指輪の交換そして花嫁にキスである。
白いタキシードを着たTがコントやっているとしか思えない。


バージンロードを歩く新郎新婦に花びらをかける。
新婦のEさんはとても嬉しそうで、そして綺麗だった。


披露宴までの間、控え室で飲みながら歓談。そこには新郎新婦も来て挨拶にまわる。
Tがノコノコ横に来たと思ったら。
「ショートカットのカワイイ子いたろ あれ、お前好きだろ」
――なにぃ!! バージンロード歩きながらチェックしてただと!
確かに私も気づいていたけど、確かにタイプだったけど。さすがT。いかなる時も侍である。
それだけ言うと、親指立てて去っていった。

つづく