付き合いで世界は回る〜東京バンドワゴンのこと〜

小路 幸也 著 「東京バンドワゴン」 を読んだ。


舞台は東京下町。
明治から続く古本屋(今はカフェを併設)を営む大家族堀田家に巻き起こる様々なエピソードを描いた人気シリーズ第一弾。
寺内貫太郎一家のオマージュともいえる、下町らしい人情劇だ。
なんだかんだで私は人情モノが大好物なので、とても楽しめた。


大家族なので登場人物も多いのだが、読んでいくうちにシルエットが浮かぶくらいに世界が見えてくる。
映像化を求める声が多いのもうなずける。
ストーリーも昨今のお涙ちょうだい的なものでは決してなく、読んだあとに頬が緩む感じの良いさじ加減なのだ。
これはもう読んでもらうしかない。。


こういった人情モノが流行る背景には、そういうものに憧れる現代人の心理があるのかもしれない。
近所付き合いはもちろん、家族間での干渉も避けるような時代である。
でもきっとどこかで望んでいるはずだ。


この作品の世界では、家族はもちろん、ご近所さん、常連の客、とにかく付き合いが多く、その中で事件が生まれる。
現実的に考えれば面倒かもしれないが、確かに飽きないだろう。
私の仕事場のある場所は下町ゆえにこれ近い。
立ち話に巻き込まれるし、あげたりもらったりというお裾分けが多い。
面倒と思うときもあるが、やっぱり良いと思う。


話しが逸れたが、最近付き合いというものが面倒と思いがちな人は読んでみてはどうだろう。お勧めだ。




東京バンドワゴン

東京バンドワゴン