愛すべき武将〜のぼうの城のこと〜


和田竜 著 「のぼうの城」 を読んだ。

少し前に本屋大賞で2位になった時代小説。新人の時代小説では異例のヒット作である。
野村萬斎主演で映画化も決定したようだ。


秀吉がついに北条氏を支配下に治めるべく小田原攻めに動き出した。
北条側の湖に囲まれた忍城の城主(現在の埼玉県)、成田家は戦わずして城を明け渡すことを決めていた。
しかし、そこに待ったをかけたのが、成田長親だった。


でくのぼうの”のぼう様”と領民からもバカにされている長親。
何一つまともにできず、馬にも乗れないし、剣もできない。田植えすらできない。
この長親が2万を超える石田三成軍と対峙することになる。
熱く強い個性的な家来たちと、ぼーっとしている長親が武士の意地をかけて戦う。


とても爽快なストーリーだ。時代小説に慣れてない人でも読みやすいだろう。
映像化を前提にして書かれたものだけあって、場面の切り換えが上手い。
そして、静の長親と動の家来たちの対比の緩急が効果的だ。


個人的にはもっと各登場人物を掘り下げて書いてほしかった。
文字数自体は結構少ないのである。
ただそう思うくらい、ずんずん読んでしまったわけである。


映画化のキャストを見たがなかなか良いと思う。
まだまだ歴史ブームは続くようだ。

のぼうの城

のぼうの城