一瞬は永遠に〜古屋誠一のこと〜


古屋誠一 メモワール」 を見た。

恵比寿の写真美術館で開催中の企画展。
ヨーロッパを拠点に活躍する古屋誠一の代表作を集めた集大成的な個展になっている。


古屋氏は妻クリスティーネのポートレートを飽くことなく撮り続けた。
出会った頃から結婚、出産、そしてクリスティーネの精神が病んでも撮り続けた。
写真の中のクリスティーネはとても表情豊かかと思うと、何の感情もみせなかったりする。


ファインダー越しに妻を存在を確かめているような、
あるいは妻の自殺を感じて、記憶をとどめようとしているような、そんなはかなさが漂っていた。
妻の死後も膨大な彼女の写真を選びながら、写真集にしている。
その作業はただ産みだそうというものではなく、何かを編んでいるようなものではないだろうか。


展示の最後は出会って間もない頃のクリスティーネのはにかんだ笑顔だった。
一瞬が永遠につながる、そんな陳腐な言葉がリアリティを持って感じられた気がした。
私は誰かにこれほど真剣に対峙できるだろうか。
いろいろ考えてしまう企画展だった。