世界の色彩〜ウィリアム・エグルストンのこと〜

ウィリアム・エグルストン:パリ−京都」を観た。


ウィリアム・エグルストンはカラー写真を芸術の域まで高めたアメリカの写真家。
といっても、私も今回初めて知った。


どんな写真でも白黒にすれば、それなりに見えるじゃない。なんてことを誰しも思うはず。
カラー写真は例えば自然や動物であれば別だが、やはりどこか野暮ったく見えがちだ。
それはあまりにも現実過ぎるからかもしれない。


このエグルストンの写真も一件何でもないように見えた。
が、その色彩の妙がじわりじわりと感じられてくる。
ある断片的な風景の中に様々な色(特に赤)が主張してくる。
それは視覚で感じる色ではなく、イメージの色に近いのだ。
過去の中の色ともいえる、色が色以上の意味をもっているようだった。


物質には色がある。世界は色で埋め尽くされていて、その配色は無限であり偶然的だ。
私たちはそんな偶然の連続で構成された色のコンポジションに意識など向けない。
だが意識的に見れば、なるほど世界は色が溢れ、絶妙な色の配置が存在しているのだ。


写真を撮るという行為の新たな一面を教えてもらった気がする。
写真は知れば知るほど奥が深い。。。