北千住で退廃的な酒を〜デカダンスのこと〜

Eさんと映画をみたあと飲みに行った。
北千住駅前は丸井などもできて以前とは見違えるようになったが、
路地を入れば昭和の影が色濃く残っている。
小体な店が肩を寄せ合うように並ぶ姿が何とも言えない。


あらかじめ調べておいた「鳥しげ」という店へ。
焼き鳥の店と聞いていたが、本当に焼き鳥しかない。
ただ確かに美味しい。そして安い。
肉汁が落ちるつくねは柚子が少し入っていて、仕事が細かい。
とにかく一品、一品が大きい。
決して綺麗な店ではないが、私はこういう店が好きだ。


いろんな話しをした。
芸術論からガンダムまで、こうも話せる人も珍しい。
その中で「退廃美」というキーワードが出た。
枯れゆくもの、滅びゆくもの特有の美。
いわゆるデカダンス
そういった美を知ることは少し危険なことでもある。
世界の裏を見ようすることでもあるし、厭世的になりがちでもある。


そして時には無頼派を気取った青臭いセンチメンタリズムを伴うことがある。
あれはイヤだな、と意見が合った。
こう考えるとなんともひねくれた酒である。


しかしデカダンス的な魅力というのは、
芸術だけでなく人にもあてはまるのではないか。
憂いを帯びた人や、薄幸な雰囲気をもつ人に魅力を感じる人は多い。
不安定な人や、迷っている人もそうだ。
なぜそっちに行くのか、、、そんな人の後ろ姿が魅力的に写ることもある。


まあ私はそのあたりは現実的だし、退廃的になれる素質も皆無だ。
ぎゃーぎゃー言いながら日常を送る往生際の悪さといったらない。
でもそこに美はないだろうけど、ささやかな義はあるかな、と。。。