陶芸の力〜ルーシー・リーのこと〜

ルーシー・リー展」を観に国立新美術館に行ってきた。

陶芸家ルーシー・リーの存在を知ったのは数年前テレビの番組だった。
穏やかで品のあるお婆ちゃん。そんな彼女が作り出す作品に衝撃を受けた。
いつか実物を見たい――そう思っていて、
今年大規模な回顧展が行われるといことで去年から楽しみにしていたのだ。


ウィーン時代の初期作品から、円熟期にかけて約250点の作品が公開されている。
器、花瓶、ボタンなど様々な作品が展示されていた。


結論から言うと、陶芸でこれほど感動したことはない。
本当に素晴らしかった。
見ていて全く飽きない。
形、模様、色、陶芸というものがこんなに人を揺さぶるものだとは思わなかった。。


洗練した形は近代的でありながら、温かく、見ていても手にしっくりと馴染むことがわかる。
その柔らかさと、凛とした存在感。
彼女は掻き落としと呼ばれる技法で線模様を描くのだが、その線がモダンでありながら有機的である。
色に関して、彼女は80歳を越えても釉薬を研究し続け、今回そのレシピノートも公開されている。
白、黒、青、ピンク、どの色も何とも言えない優しい表情をしている。特に青とピンクの色味といったら。

実物を一度見てもらえれば解るはずだ。

彼女の人柄がすべて作品に出ている。
作品に宿るダイナミズムと優しさを前にして、きっとどこかが揺さぶられるはずである。