鉄人〜父のこと〜

父がついに70歳になり、そのお祝いに家族で飲みに行った。


70歳ともなれば、悠々自適な老後生活を楽しんでいて当たり前なのだが、
私の父は現役バリバリに仕事している。


とにかく仕事が好きで、仕事を取ったら何も無いくらいの勢いだ。
とはいえ、鉄人の異名をもつ父もさすがに体がついていかないこともあるようだ。当然である。


長男であり、仕事を継ぐ身としては本当に申し訳ない気持ちになる。
父だけでなく母も一緒に仕事をしている。
とにかく働く両親なのである。


父子関係は非常に良い方だと思う。
一緒に仕事をしている父子関係は悪いことが多いが、私たちは良い関係だ。
それでも仕事中に激高し声を荒げてしまうこともあり、夜な夜な自己嫌悪に陥ったりして。


本心から長生きしてほしいと思うし、生活を楽しんでほしいと思う。
そう思うと自分がもっとしっかりしなくてはと思うのだが、これが上手くいかない。
酔って寝てしまった父に申し訳ない気持ちを抱きながら、その会は和やかに終わった。


そのあと、叔父とバーで飲んだ。
叔父もまた酔って寝てしまった。
みんな疲れているんだな、と。


あーもっと頑張らなくては、と。
そしてため息ひとつ、である。