最恐児童小説〜「ぼくはお城の王様だ」のこと〜

スーザン・ヒル 著 幸田敦子 訳 「ぼくはお城の王様だ」


おそらく私が今まで読んできた本の中で一番恐ろしい作品かもしれない。

11歳の子の罪深い心理を描写した衝撃作!
11歳のエドモントのお屋敷に母と一緒に居候することになってから、同じ年のチャールズの地獄が始まった。エドモントのチャールズへの執拗ないじめの始まりだ!

という説明のとおり、描かれているのは子供の純粋な悪意である。
それはもうどうしようもない悪意なのである。


子供の世界を大人は見守っているつもりだけど、そんなことは不可能に近い。
子供の感覚を保っていると思っていても、人間は子供のときにしか感じられない世界の色を忘れていくものだ。


大人にとってはささいなことも、子供にとっては世界の終わりを意味するほどに深刻だったりする。
そして子供の子供に対する悪意は、純粋ゆえにとてつもなく悪だったりする。
そういう子供の世界があるということを再認識させられる作品だ。


読者を選ぶと作者が言っているとおり、内容はかなり厳しい。
読後感の悪さは尋常じゃない。
ただ親になる人は子供にしか見えない世界があることを忘れてもらっては困るので、読んでおくべき。
ただ、この後味の悪さはしばらく消えない。。。



ぼくはお城の王様だ

ぼくはお城の王様だ