Mの魅力〜谷崎文学のこと〜

谷崎潤一郎 著 「マゾヒズム小説集」 を読んだ。


こんなにも手に取りにくいタイトルがあるだろうか。
きっと谷崎が生きてたら怒ると思う。
ただ、確かにマゾヒズム小説集なのである。


痴人の愛春琴抄でお馴染みの文豪。
私が大好きな作家の一人だ。
この作品には谷崎の真骨頂ともいえるマゾ関係の作品が集められている。


静謐な文章で語られる物語は、もはや幻想文学に近い。
マゾヒズムという倒錯的な愛情関係がなんとも蠱惑的なものに感じられる。
谷崎文学に登場するマゾ男に妙な親近感を覚え、その相手となる女性に魅力を感じる。
とはいっても、私は別にマゾじゃない。


ただ全く理解できないわけでもない。
深津絵里が演じた春琴なんかは、もう最高である。
ちょっとなじられてみたいとは思う。
けど、実際なじられたら黙ってないと思う。


つまり、谷崎文学はそういう怖いモノ見たさの魅力も加味されるのだ。
相当手に取りづらいだろうが、どれも非常に面白い短編だ。
勇気を出して手に取ってもらいたい。


谷崎潤一郎マゾヒズム小説集 (集英社文庫)

谷崎潤一郎マゾヒズム小説集 (集英社文庫)