きっと良い人〜森絵都のこと〜

森　絵都　著　「風に舞いあがるビニールシート」　を読んだ。

「カラフル」の著者としてお馴染み、135回直木賞受賞作。
表題作を含む６つの物語を収めた短編集。
仕事と人生の関係を密に描いた物語ばかりだ。

仏像修復士であったり、普通のサラリーマンであったり、国連機関に勤める者であったり、
それぞれの世界で悩み、苦しみながらも懸命に生きている。
帯にも書いてあるが、”大切な何かのために懸命に生きる人たちの、６つの物語”なのである。

内容さておき、この著者は小説を媒体として伝えたいことがはっきりしていて好きだ。
それは少し青臭いものだったりするのだが、イヤじゃない。
すごく良い人と会ったときのような、すがすがしい気持ちになれる。

大切な何か、懸命に生きる理由、私にはどちらも未だに見つかっていない。
どちらも得ている人はきっと強いんだろうな、とそう思う。
そうありたいものだ……。

風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)