神戸と大阪と東京の男たち〜伊勢・熊野旅行のこと その4〜

ようやく宿でひと休みする頃には陽も傾いてきていた。
安宿なので温泉も食事も無い。
でもこれでいいのだ。温泉はいくらでも日帰り利用できるし、食事はやはり地元の店がいい。


立派なホテルの温泉でトゥルトゥルになったあとはビールと美味しい食事を探す。
マグロが有名な漁港なのでとにかくマグロ料理が多い。あとはくじら。
良い感じの店がなかなか入れず、この日はモダンな感じ店のカウンター席に座った。
マグロの刺身とから揚げで、ビールが美味しいこと。


少し離れた席で先に飲んでいる若い男性がいた。地図を見ているところから旅の人らしい。
日頃からバーで知らない人と飲んでいる私である。旅先であればもはや誰にでも声かける。
話してみると神戸から車のひとり旅だそうだ。熊野見てから高野山に行くと言う。
旅のテンションで意気投合。もう一軒行こうということになった。
飲んでいた店の人に聞くとバーを紹介してくれた。



グラッパという看板が怪しく闇に光っている。
スーパー入りずらい。。。。尻込みする二人。
ままよと扉を開けるとまた人の良さそうな40前後のマスターと20代の女の子がいた。
地元の人に愛されている感じの店。
今までの旅の話から例の地震の話までいろいろした。神戸の彼は震災経験者でいろんな話を聞かせてくれた。


しばらくすると二人ずれのいい感じにできあがった男性が。
一人は常連でもう一人は大阪から仕事で来て初めてきたそうだ。マスターが私たちが東京と神戸から来て知り合ったばかりで飲んでると紹介すると。
「考えられへん。めっちゃ、いいですやん。めっちゃ、いいですやん」とやたら感動した様子。
とりあえず飲もう、飲もうということになり図らずも飲み会が始まってしまった。。。


私の年齢を言うと、「めっちゃ若いですやん!」なんて言うものだから、私も気持ちよくなりMAXハイテンションである。
結果飲みすぎるということになり。腕を引っ張る大阪君を置いて店を出た。
神戸君とも真っ暗な漁港で別れた。
いつか東京か神戸で会えたらいいねと、握手。


みんなそれぞれの場所があり、それぞれの場所で頑張っている。
そんな人たちがたまたま漁港の小さな店で飲む。
そしてまたそれぞれの場所に帰る。


あーなんだか旅ってやっぱり楽しい。